ブチ壊し大作戦

 伊万里は鬼塚に昨夜、桜太郎おうたろうから聞いた喧嘩した際の声を録音し、結婚式で流すといった事を提案した。

 鬼塚や一華、本郷、八巻も賛成し、夕方再びすずが何でも屋を訪れた。鬼塚は早速すずに伊万里の意見を提案したが、

「伯母は結婚式の準備で忙しいんで我が家にあまり来れないんで、何か証拠になるような物でしたらございますが…」

「証拠とは?」

「私、学校の保健室とは別に区が無料でやっている対面式の相談機関に行ってるんです。そこのカウンセラーさんが毎回ノートに私の相談内容をメモしています」

「見せてくれますかね?守秘義務というのは、向こうにはあるはずですし…」

「鬼塚さんの仰る通りかもしれませんが…」

「聞くだけ聞いてみましょうか?次、その相談機関に行く日は?」

「明日です」

「では、明日私も同行します。宜しくお願いします」


 翌日、鬼塚はすずと区の相談機関へ行き、すずの担当のカウンセラーにノートを写真撮影していいか交渉したが、最初は断られたが、鬼塚のトークで特別に撮影の許可が降りた。

 相談機関へ行った後、近くのカフェで今後の話をし、その日はお開きとなった。


 鬼塚が何でも屋に戻ると、伊万里と一華がいた。2人は鬼塚に気がつくと

「おかえりなさい。鬼塚さん」

 一華が言った。

「ただいま。あれ?本郷君と八巻さんは?」

 鬼塚は聞いた。

「本郷さんは急遽山田さんのお婆ちゃん宅へ買い物代行に行く事になり、八巻さんは今回の本仮屋さんの件で鬼塚さんに頼まれた事があるからそれをやりに行くって言って出かけました」

 そう伊万里が説明しているとドアが開き、狐の姿の八巻が戻ってきた。

「あ、八巻さんお疲れ様です」

 伊万里は声をかけた。

「八巻さん、何かわかりましたか?」

 一華は聞いた。

「鬼塚さん、阿南さん、皇さん、只今戻りました」

 八巻は人間の姿に変化すると

「鬼塚さん、今度やる本木千夏の結婚式が行われるホテルに聞いたら映像を差し替えて大丈夫になったよ」

「ありがとうございます!」

 鬼塚は昨日、八巻に本木千夏の結婚式が行われるホテルに式で流す映像を差し替えていいか許可をもらえないか頼むようにお願いした。ホテル側は花嫁または花婿の許可なしに変更する事はできないの一点張りだったが、八巻が事情を懇切丁寧に話した事で映像の差し替えが可能となった。

「さすが八巻さん!とりあえず、当日まで着々と進んで来たね!」


 しかし、鬼塚は知らなかった。本木千夏がどんなに怖いかを…。


そして、いよいよ結婚式当日、鬼塚は1人ホテルへ向かうのだった。


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