再会は突然に…
クリスマスケーキのチラシ配りの依頼から1ヶ月が経った。吉村からは、チラシ配りの後もクリスマスの飾り付けなどの依頼が来ていた。
12月に入ったある日、伊万里は体調不良になった本郷の代わりに、山田夫人宅へハウスクリーニングの依頼に行っていた。帰りに山田夫人から飴玉を何個か頂いた。
その帰り道、突然ゲリラ豪雨が降ってきて伊万里は、近くにあったコンビニで雨宿りをした。
「早く戻らないと鬼塚さん、待ってるし…」
伊万里は腕時計を見ながら独り言を言った。
コンビニの出入り口から前回のチラシ配りの依頼で伊万里からチラシを貰った男が出てきた。男は、伊万里に気づくと
「あれ、あの時の…。大丈夫?びしょ濡れだよ」
と声をかけた。
伊万里も男に気付き、
「あ、チラシを受け取った…。突然だったんで傘持ってないんです」
「そうだよね?よかったら入る?」
男が自分の傘を指差すと
「あ、いいんですか?」
伊万里はそう聞くと男は頷いた。
「俺、今日早上がりだから俺の家に行こう。かなり濡れてるし…」
「すみません…」
「気にしないで。俺は
「皇伊万里です」
「じゃあ、伊万里ちゃん行こうか」
それから伊万里は男と他愛のない話をしながら歩いた。
伊万里は、5分ぐらい歩いて男のマンションに着いた。
男のマンションは少し洒落た建物だった。
伊万里は、男の家の中に入ってリビングにいると
「そこに座って待ってて」
男は、近くにあった1人掛けのソファーを指差した。伊万里は、ソファーに座り待っていると男がバスタオルを持ってきて伊万里の髪を拭いた。
突然の事で、伊万里は混乱した。
「え、えっと…」
「じっとしていて」
「は、はい」
男は暫くすると
「伊万里ちゃん、突然でびっくりしたでしょ?」
「え、えぇ…」
「見てて気になったし、このままだと風邪引くかと思って…」
「
「そんな事ない」
「いやいやいや、それ優しい人って証拠ですよ!」
「それに俺、伊万里ちゃんが配ってたチラシのクリスマスケーキ毎年食べてるし…」
「それご家族か恋人と食べてるんですか?」
「いや、親とは離れてるし、恋人いない」
「まさか1人で?」
「あんな大きいのを1人で⁉︎」
「だってスイーツ系好きだから」
「わ、私もスイーツ好きですけど、あんなに食べれません」
「だよね。普通は」
そう
伊万里も釣られて笑った。
それから伊万里は時計を見て
帰り道、伊万里はまるで夢を見ていたようにぼんやりしながら歩くのだった。
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