弟の依頼

 皇伊万里は今、目の前にいる依頼人と対面している。依頼人は、伊万里の弟・皇雪之丞である。

「つまり、雪ちゃんの同級生のいちじく君からホットケーキミックスを取り替えしてほしいのね!雪ちゃん、お姉ちゃんにまかせて〜。必ず雪ちゃんの仇を取るから〜」

 伊万里は甘い声で言った。

「気持ち悪いんだよ…」

 雪之丞はドン引きした。

「皇さん、弟君が可愛いのはわかったから仕事!仕事!」

 鬼塚は手を叩きながら言った。

「そうよ!だけど、皇ちゃんの弟君、イケメンだけどね」

 一華は雪之丞を上から下まで見て言った。

「皇さん!弟さん、高校生だからそんな声出したら引くの当たり前だろ〜。それにこういうのなんて言うんだっけ?こうし…」

 八巻は伊万里を見ながら言った。

「公私混同」

 本郷がボソッと言った。

「そうだ!公私混同!」

 八巻は手を叩き、本郷を指差して言った。

「八巻さん、本郷君話を戻すよ」

 鬼塚は言った。

「雪ちゃん、担任の先生は知ってるの?」

 伊万里は聞いた。

「知ってるけど、大事にしたくないみたいで、あまり何もしてくれない」

 雪之丞はがっかりして言った。

「鬼塚さん、どうしますか?私の可愛い弟がこんなに困っているんですよ?」

「可愛いって言うな」

 鬼塚は少し考えてから

「とりあえず、担任の先生と話をするのといちじくって生徒になくなったホットケーキミックスを何処にやったか聞くかな?」

「親が介入して来たらどうします?」

 一華は聞いた。

「そうだ!親が介入してくる場合もあるか…」

「なんだか今日の鬼塚さん冷静ですね」

 伊万里は驚いた。

「いや、モンスターペアレンツだったら面倒臭いんで」

 雪之丞は頭を下げ、

「宜しくお願いします!高校生活初めての文化祭なので!」

「わかった!やってみるよ!弟君!」

「雪之丞です」


 翌日、鬼塚と八巻は雪之丞がある高校へ行った。伊万里は身内のため下手に動いたらまずいため、何でも屋で待機し、同じく一華も何でも屋で待機する事になったが、本郷は山田という高齢女性の家へハウスクリーニングに行っている。

「いざ高校へ!」

「鬼塚さん、なんて言って入ればいいのかい?」

「何でも屋って言えばいいんですよ!」

「大丈夫かな〜」

「いや、事前に高校にはアポ取ったから!」

「仕事早い…」

「とりあえず、雪之丞君の担任の出川先生といちじくって生徒の担任に石松先生と話をしなくちゃだ」

 そう言いながら鬼塚と八巻は高校の門を入って行くのであった。


 

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