牛鬼のショクム

ホットケーキミックス編

雪之丞

　皇雪之丞は、隣のクラスの九（いちじく）トーマスの事で悩んでいた。

　九（いちじく）は、アメリカ人の父と日本人の母を持つ何処にでもいるハーフの高校生。しかし、九（いちじく）は6月にあった球技大会で、雪之丞のクラスに負けた事がきっかけで雪之丞のクラスメイトに嫌がらせをするようになった。雪之丞もターゲットにされ、ストレスとなった。

　9月のある日、文化祭の出し物で使用するホットケーキミックスがなくなった。クラスメイトの1人は九（いちじく）がホットケーキミックスを持って行ったところを見たという。

　この事件で雪之丞のクラスメイト全員は、九（いちじく）を恨み始めた。

　雪之丞には、何でも屋で働く10歳上の姉・伊万里がいる。姉の伊万里は雪之丞を溺愛し、高校生になった今でも赤ん坊の頃と変わらずベタベタしてくる時がある。

　そんな姉を雪之丞は

「うざい！」

　と言い放つ。

　そんな普段は自分にベタベタしてくる頼りない姉を頼る時が来てしまった。

　雪之丞は何でも屋のある建物に入り、ドアをノックすると中から何でも屋の主人・鬼塚清志郎が出てきた。

　この鬼塚清志郎、見た目は人間だが、その正体は牛鬼という妖怪だ。