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これで三日目。依頼者が部屋から出てきた様子はない。夢見がドアに仕掛けた髪の毛に変化はなかった。大学卒業後に就職した会社は2年前に辞めている。
「学生の頃はもう少し愛想がよかったんだけど」
近所の総菜屋のおばさんから話が聞けた。
「女気なんてないと思うよ」
総菜屋のおばさんがそう言った横から少し若作りの女性が口をはさんできた。
「あの人、娘たちの間では有名みたいで」
もちろんよい噂ではない。夢見たちが受けた印象と同じもの。
「ただ、かわいい女の子と一緒にいたところを見たらしいの」
「娘さんがですか」夢見はその女性にきいた。
「娘じゃなくて娘の友だち」
「いつ頃の話ですか」
「1年ぐらい前じゃないかしら」
タクヤは歓楽街に迷い込んでいた。やっぱり尾行はミーちゃんのほうが数段上なのかな。しかたなく表通りのほうに歩きかけたときタクヤは男に呼び止められた。
ソープランドのボーイかと思い、無視して通り過ぎようとすると「お客さん、キースのこと知ってるのかい」とそのボーイ風の男が言った。
「お宅のコンパニオンですか」
「違いますよ」
「あの子はインディペンデント」
「一人で仕事をするんです」
「そうなんですか」
「気をつけた方がいいですよ」男は意味ありげに笑った。
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