第26話 スケルトンとリボン
眩い光と共に、聖女様の姿をとり戻したクリスティーナ。
始まりの
しかし、目の前にいる彼女はスケルトンから一転、一糸纏わぬ少女に。
それも、超がつくほどの美少女だ。
こんな状況で、それがたとえ二度目であったとしても、驚かずにはいられない。
ここに、鏡がなかったことを心底よかったと思う。
今の俺の顔はきっと、相当なマヌケ面だ。
それぐらいに、驚いている。
「きゃあっあああああああっ」
クリスティーナが声をあげる。
それに応じて、俺は反対方向へ急転回。
幾度となく、レベルアップを凝り返して得たステータスのせいか、想像以上の速度で回る。
ブォンと、風が巻き上がる感じ。
「ご、ごめんっ……!」
何に対しての「ごめん」と、思うかもしれない。
しかし、それはきっと、
「い、いえ……ご主人様はわるくありませんっ。だけど、これはどういうことなでしょうか?」
クリスティーナも突然、元の姿に戻ったこと不思議に思っているようだ。
「わからない……でも、そのままじゃマズイから何か着るものを持ってくるっ」
「あ、ありがとうございますっ」
確か、洗濯し終えたTシャツか、何かがあったはずだ。
乾燥機の中から一枚を広げてみると、ドクロをあしらったデザインのTシャツがでてきた。
さすがに、これを着させるのはどうかと思うので、そのままあった場所へリリース。
数あるTシャツの中でも、一番無難であろう無地のTシャツを持って部屋に戻る。
その際は、後ろを向いたままクリスティーナのほうへ向かう。
不可抗力で、あっごめん……ワザとじゃないんだっ、
的なアレも一瞬、浮かんだのだが。
クリスティーナ相手にそれは、さすがに心が痛む。
そして、邪な考えを捨て去った結果が、この後ろ向き戦法である。
我ながら、不審者極まりない動きだが、こればっかりは仕方がない。
Tシャツを渡すときに、柔らかな指が触れてドキドキとしながらも、このミッションは無事に成功した。
「も、もう大丈夫です……」
お許しがでたところで、クリスティーナの方へ向き直す。
そこで俺は、とんでもないミスを犯したことに気がついた。
あろうことか、着る物をとか言いつつも、Tシャツ一枚しか渡していなかったのだ。
グッジョ……、いや、これは完全に俺のミスである。
そして、目の前にいるクリスティーナは、Tシャツの丈が短いのか。
手で必死に伸ばそうと、モジモジとしている。
それを女神と称されてもおかしくない、美しい少女がしているのだ。
その破壊力は、とてつもない。
おもに、目の前にいるというこのリアル感がやばい。
白く、艶やかな太ももがマジヤバイ。
踵を返すように、急いでジャージを取りに戻り、なんとかこの窮地を脱したようだ。
「そ、そういえば、スケルトンになってから食事してないんだろ?」
少し落ち着きを取り戻した俺は、クリスティーナに話しかける。
「は、はい。もうずっと、食事なんてしていなくて……」
スケルトンになってからの事を思い出したのか、俯いてしまう。
聖女様からスケルトンになってからというもの、町を追われ、ダンジョンに逃げこまなきゃいけない状況にまで追い込まれていたと言う。
その間、辛いことが一杯あったことは想像に難くない。
ここは一つ、この世界の料理を食べてもらい、少しでも気を晴らしてもらうのはどうだろうか。
ああ、わるくない、わるくない気がするぞ。
「少し、この部屋で待っててくれるかな。ちょっと、出かけてくる」
「ど、どこに行かれるのですかっ?」
と、断りを入れてから部屋をでる。
その際に、笑顔でサムズアップをしたが、クリスティーナに伝わっただろうか。
……伝わっていないだろうな。
だって、俺のサムズアップにクリスティーナは首を傾げ、頭にはクエスチョンマークが浮かんでいたもんな。
そして、買い物も一通り終えて、家に帰ってみると。
なにやら、騒々しい。
クリスティーナが騒いでいるとも思えないし、一体何が起きているのだろうか。
中に入って、すぐその原因がわかった。
「タケ兄ぃ、お帰りっ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます