第7話 スライムを狩ろう!

プチッと、 プチッと、スライムさんをバットで潰す。


 それは、とても戦闘と呼べる代物じゃない。

完全に流れ作業と化したものだった。


 おかげで、レベルアップを知らせるログが流れ続ける。


 かれこれ、数時間はスライムさんを潰し続けているのではなかろうか。

レベルアップしては、HPやなにやらが全回復してるせいで疲れ知らずだ。


 しかし、全然手が足りない。あっちにもスライムさん、こっちには色違いのスライムさん。

見つけては、 プチッ。そしてまた見つけては、 プチッ。


 途中から、クリスティーナにも手斧を持たせてプチプチと。

そのせいか、もうそこらじゅうに、スライムさんの体液が飛び散っている。


 俺もクリスティーナも、スライムさんの体液でビショビショだ。


 もうそろそろ、狩りつくしたんじゃないだろうか。

見渡してみても、形を保っているスライムさんは見当たらない。


 さて、どれくらいレベルがあがったのか確認してみようか。



名前:ヤマダ タケシ

種族:人間

性別:男

ジョブ:冒険者

レベル:37

HP:750

MP:590

STR:255

VIT:309

INT:248

DEX:225

AGI:370

ストックHP:10

スキルポイント:165



 お、おう……マジか。

すげー、レベルがあがってるわ。


 ついさっきまで、一桁台であったレベルが今では40近くまでに。


 これだけあがっていれば、生存確率急上昇待ったなし。

スライムさん、本当にありがとう。






「ご主人様、沢山スライム倒しましたね」



「あ、……ああ。もうこの辺には、いないみたいだ」



 クリスティーナに声をかけられるまで、ステータスに夢中でビックとしてしまった。

声は可愛らしいのだけれど、見た目が骸骨だから、こっちとしては怖いものがある。


 慣れるまで、もう少し時間がかかりそうだ。



「こんな数のスライムを見たのは初めてでした。ところで、魔石は回収しなくていいのでしょうか?」



 なにそれ、初耳ですけど。



「魔石?」



「はい、魔石です。ダンジョンなどにいる魔物は全て体内に魔石を持っていて、町に持っていけば高値で買ってもらえますよ。わたしは、町に入れないですけどね……は、はは……」



 自分で、自分のトラウマを抉っていくクリスティーナ。


 なんか遠い目をしてる気がする。


 スケルトンだから目がないけど、たぶんしているハズ。


 しかし、魔石か。持っておいて損はなさそうだ。


 スライムさんの体液の中から、魔石っぽい石ころを拾いあげる。



「これのことかな?」



「そう、それです。スライムの魔石は、特にめずらしくて高額で買ってもらえるはずですよ」



「なるほど、良い事を聞いた。ありがとう」



「いえ、お役に立てれて嬉しいですっ」



 クリスティーナの話を自然に受け入れていたけど。

話によれば、ダンジョンの外には違う世界が広がっている。


 自分が住んでいる世界とは、また違った世界。

異世界いいな。異世界料理、エルフにケモミミ、夢がどこまでも広がる。


 無事にダンジョンを攻略できたら、行ってみるのも良いかもしれない。





 あれから、スライムさんの魔石を集めること暫く。

その量は、登山用リュック一杯になった。


 これを換金したら、一体どれだけの金額になるのだろう。

もうしかしたら、お家が建ってしまうかもしれないな。


 それもまだ先のこと。とりあえず、アイテムパックにしまっておこう。



「ごっ、ご主人様。それは、一体……?」



「どうした?」



「魔石を入れた袋が消えてしまいましたっ!」



「アイテムパックのことか?」



「あいてむぱっく……ですか」



 何て説明をすれば、いいのだろうか。

物を収納するスキルです、と言ってわかってくれればいいけど。


 かくかくシカジカ、まるまるウマウマ、と説明すると。



「なるほど、空間魔法をつかえるのですね。さすが、ご主人様です」



 納得してくれた様子。

ところで、空間魔法ってなんだろうな。


 スライムさんで経験値もうまかった事だし。次へ進むとしよう。

しかし、なにか忘れている気がするけど。


 まぁ、いいか。



 近くにあった噴水で、手と顔についたスライムさんの体液をバシャバシャと洗い落として。再び、出口を探し始める。


 すると、出口らしきものが。


 ついに、見つけてしまったようだ。


 装飾された門の奥に、地下へと続く階段。


 その前には、二体の石像がみえる。


 神さまをモデルに作られているのだろうか。

髭を生やした、筋骨隆々な壮年の男した石像だ。大きさは三メートルくらい。


 ペタペタと触ってわかったが、なかなかと精巧な作りをしている。

細かい細工とか、もう良い仕事してるよ。

これを作った職人は、さぞ良い腕を持っていることだろう。


 プラモ愛好家が言うのだから、間違いない。



「ご、ご主人様……」



 クリスティーナの呼びかけに、振り返る。



「そ、それ……ゴーレムです」



 ぱーどうん?

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