第86話 連想ゲームR18部門のプロか?
「お兄ちゃんがね? お兄ちゃんでお兄ちゃんお兄ちゃんしててお兄ちゃんがお兄ちゃんお兄ちゃん犯したいお兄ちゃんなんだよ?」
「へ〜。そうなんだね」
「情報量零の会話に着いていこうとしなくていいからな? あと新。途中に何を挟んだ?」
「それよりみーちゃん。呼んだ?」
「零じゃねえ。ゼロだ。情報量零ってなんだよ。怖ぇよ」
「は、挟んだってお兄ちゃん……そんな卑猥な」
「卑猥なのはお前の脳だ」
俺達は今つつじさんの家に向かっている。その際の雑談がこれだ。
いやこれ雑談でもないな。猥談だな。
「猥談で思い出したんだけどさ」
「そんなもので思い出すな。あと思考を読むな」
「……?」
つつじさんが頭の上にクエスチョンマークを浮かべている。……ただ説明はまだ早いな。頭のおかしい人だと思われ――今更か? 今更な気がするな。
(という事で聞いてみよー!)
「私ね。みーちゃんの思考読めるんだ」
「へ〜。凄いね」
「反応合ってるかな!? 淡白すぎない!?」
「え? 幼馴染ってそんなものじゃなかったのかな?」
「んなファンタジーな幼馴染がいてたま……いたわ」
目の前に。そんなえ? 私? みたいな顔をするな。
(え? 私?)
お前が言うのかよ。いや、中身は同じなんだろうが。
……同じだよな? 独立して別の意識を構築してるみたいな事とかないよな?
(大丈夫大丈夫。多分)
信用ならねぇ。
「という事でお兄ちゃん! 白昼堂々私とえっちな事しよう!」
「日本語の勉強してから喋ろうな。新」
「失礼な!」
「失礼なのはお前の存在だ」
「酷い! でも好き!」
「お兄ちゃんお前が悪い男に引っかからないか心配だよ」
「お兄ちゃんにしか引っかからないから安心だね! お兄ちゃんのお兄ちゃんおっきいから引っかかるどころか引き抜けなさそうだし!」
「白昼堂々とド下ネタを叫ぶな」
「みーちゃんのは返しみたいになってるもんね」
「ちょっと自分で怖くなってくるからやめて。そんな釣り針みたいになってないから」
こんな間もつつじさんはニコニコと優しげな笑みを浮かべている。強い(確信)
冗談はさておき、内心でドン引きしていてもおかしくないのだが。
「ねえねえ。今のってなんのお話なの?」
「あ、普通にわかってなかったパターンね」
「前の学校でもそうだったんだけど……みんなあんまり教えてくれなかったんだ」
「全てガッチリ当てはまったわ」
なるほどな。ちゃんと理解出来てなかっただけか。いや、多少の知識はあるんだろうが。この二人に比べると雲泥の差というか。
……この場合、どちらが雲でどちらが泥なのか分からなくなりそうだが。
「こっそり淫語を教え込むのもあり? 蟻の「なしだわ」とか」
ため息を吐いてまた話しながら歩いていると。無事につつじさんの家のあるアパートに着いたのだった。
エレベーターで上がると。玄関の前に人影があった。
「おかえりなさい、つつじ」
「ただいま、お母さん」
蓮美さんが手を広げると、つつじさんも手を広げてハグをした。
元々スキンシップが多い家庭なのだろう。
「で、でかい……」
「ね? 大きいでしょ」
思わず新が言葉を失うレベルで今の光景はやばかった。俺も零や新達がいなければ男子高校生らしい反応を見せただろむぐっ
「みく君もおかえりなさい! 来てくれて嬉しいですよ〜!」
「むぐ、むぐぐぐぐ」
乳が。乳で死ぬ。溺れ死ぬ。
例えるなら。零達の場合、クッションに埋もれて死ぬとかそういうレベルなのだが。この人のはやばい。
質量だ。圧倒的質量の差だ。スライムみたいな感じだ。あとめちゃくちゃいい匂いする。
「お、お母さん。みく君苦しそうだから」
「あ、ごめんなさい」
やっっっと呼吸が出来るようになった。酸素が美味しい。
「零ちゃんもおかえりなさい」
「ただいま? むぐ」
零が首を傾げようとするもその豊満な胸に顔が隠れた。
……いや凄まじいな。ほんと。
しかし、先程の俺で学んだのか蓮美さんはすぐに零を離した。零はまた手でそれをぽよぽよとしていた。
「貴方がみく君の妹ちゃんね? お名前はなんて言うのかな?」
「
「新ちゃん! そうね……じゃああらちゃんって呼んでいいかしら?」
「ちょっと危なくないか? 凄い魚介類っぽい雰囲気がしてきたんだが?」
「魚介類ってえっちだよね」
「連想ゲームR18部門のプロか?」
新は蓮美さんの乳に埋もれているので静かだ。平和だ。
あ、新がパタパタし始めた。
「お母さん、あらちゃんが苦しそうだから」
「あ、ごめんなさい」
「ぷはー……お兄ちゃん成分が消えた。という事でお兄ちゃん、ちょっと頭突っ込むね」
「やめろ! ズボンの中に頭を突っ込もうとするな! ベルトを外すな!」
新の頬を片手で掴んで離していると。蓮美さんがうふふと笑っていた。
「兄妹仲良しなのね〜」
「親子揃ってその反応は絶対間違ってるから! 舐めるな! 新!」
自重という言葉は……今更だな。
「あ、そうそう! カップケーキ焼いたんですよ、良かったら食べてください」
「あ、ありがとうございます」
蓮美さんはキッチンらしき場所へ。俺達はつつじさんに連れられてリビングに向かった。
◆◆◆
「ん、美味しいです」
「そうですか? 良かったです」
蓮美さんから貰ったカップケーキはとても美味しかった。すんごい美味しい。
「むっ。私だってカップケーキになれるもん」
「ケーキ化は特殊すぎるからやめてくれ」
「じゃあ女体盛りで」
「女体盛りがさも一般性癖かのように語るな」
まあ俺も一般性癖など知らないのだが。少なくとも女体盛りは違うだろ。多分。
「大丈夫。十年後にはみーちゃんの大好物になって週一で食べるようになるから」
「そんな未来は嫌だ」
「オニイチャンオモシローイ」
「自分の名前と掛けてねえ。あと近い。新」
「まだ遠いくらいだよ! ゼロ距離を希望します!合体しよう! お兄ちゃん! 合体は男の子のロマンって聞いたよ!」
「星……はいないんだよな。くそ……せめてあと一人正常な人が居れば押し付けられるのに。……つつじさん? 何してるんですか?」
「え? あらちゃんがみく君にくっついてるから。楽しいのかなーって」
「蓮美さん! どんな教育したらこんな二次元の存在みたいな子に育つんですか!」
零と新からは必死に目を逸らして聞く。この二人はまあ……うん。
うん。置いといて。
「うふふ。ありがとう」
「褒めて……いや。褒めてるのか? これ」
「みーちゃんも全く人の事言えないけどね」
更に目を逸らした。自分の事など知らない。あとつつじさん離れて。背中にぴとっとくっつかないで。
「つつじもみく君と仲良くなったみたいで、お母さん嬉しい」
「うん!」
やめて。無垢な笑顔を浮かべないで。心が痛くなる。自分の心が汚れすぎてて痛い。
「でもそれはそれとして離れてくれない?」
「むむむ……はーい」
「はーい」
新に続いてつつじさんが返事をして離れてくれたので一安心である。即座に近寄ろうとした零を手で阻止す――
ふにゅん。
「なんで止まらないの!?」
「え……触りたいって合図でしょ? みーちゃんに言われたら即座に体を差し出す準備は出来てるよ! いつでもウェルカム!」
「ゴーホーム! ……ってこれ人の家でやる会話じゃねえな」
普通のお宅ならブチギレられて追い出されてもおかしくないんだが。
つつじさんはともかく蓮美さんを見ると。いつも通りニコニコとした笑みを浮かべていた。親子揃って強い。
「あらあら。子供が大人に気を使うものではありませんよ? もっとのびのびしなきゃ」
「そうだよみーちゃん。のびのびかちかちビクビクしようよ!」
「お前は調子に乗るな」
でこぴんをして零を退けていると、蓮美さんが晩御飯の準備をするとキッチンへ戻って行った。ちょうどいいと俺はつつじさんを見る。
(やるんだね! 今ここで!)
お前の想像するような事はやらねえよ。
「つつじさん、学校生活はどうだ? まだあまり時間は経ってないが」
「あ、うん。楽しいよ。零ちゃん達が色々教えてくれるし、優しい人もいっぱいだし。みく君もありがとうね」
「まじで俺は何もやってないんだが……まあ、困った事があれば零に言ってくれ。多分どうにかしてくれるはずだ」
こんなでも実は優秀で優しいのである。こんなだけど。
(プロポーズ!? 言われなくても一緒の棺に入るからね! みーちゃん!)
一緒の墓に入るノリで棺に入ろうとするな。お坊さんドン引きだぞ。
「そんな事ないけどね。みく君が居なかったら私、色んな人に迷惑かけてそうだし」
「そんな事…………まあ。零達が何とかしてくれただろ。多分」
その平行世界怖いな。俺みたいな勘違い陰キャが量産されるぞ。
というか。基本つつじさんは俺達と行動してるので俺以外の男子にあまり近づいてないのだが。……これって良いのか? いや良くないよな?
どうにかしなければ。
(みーちゃん好みの女の子に調教するんだね!)
そうはならんやろ。
しかし、俺が離そうとするより早くつつじさんが口を開いた。
「あ、じゃあさ。というか、実は今日呼んだ理由なんだけど、もう一つあって。実は二人に……ううん、三人にお願いがあってね」
「お願い?」
いきなりの事に驚きつつも、なんだろうかと零達を一目見てみる。新はともかく零も初耳らしく小首を傾げていた。
……まだつつじさんにこの生霊寄生させてないんだな。
(防犯の意味を込めて実はもう居る事には居るんだよね。プライバシーの問題で心は読まないようにしてるけど)
俺にもプライバシーをくれ。最近食べてないんだ。
ではなく。
「なんだ? なんでも言ってくれていいぞ」
「じゃあお兄ちゃんのお兄ちゃんをご飯のオカズにしたい!」
「お前には言ってないから静かにしてくれ」
なんでお前はそんな目を輝かせて言えるんだよ。純粋なド変態なのか。
ではなく。
つつじさんは至って真剣な表情で俺達を見てきて。
「私の弟と妹になってくれないかな」
そう言っえ?
え???
え??????
今なんて????????
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