第25話 断ったら私がみーちゃんの揉むからね。玉を

 作者です。一つ修正する場所があったので報告します。


 23話目の星の玄関前で星が言った言葉です。


 修正前

「あ、ごめんごめん。ちなみにお母さんは今日デートに行ってて夜まで帰ってこないからね」


 修正後

「あ、ごめんごめん。ちなみにお母さんは今日女友達とデートに行ってて夜まで帰ってこないからね」


 修正前の発言だと星の両親が離婚しているのにデートをする、という意味不明な状況になっていました。申し訳ないです。これからはこんな事が起きないように気をつけます。



 それでは物語へと戻ります。



―――――――――――――――――――――――



「……やばくないか? どうする?」

「…………挨拶してく? 折角だし」

「でも、星のお母さんって確か……」

「うん。男の子家に連れ込んでるとかバレたらやばいね。お父さん不倫してたし。しかも男女比偏ってるから」

「……よくその格好許して貰えたな」

「あはは……どうにか頼み込んでね。とりあえず彩夏ちゃんと未来君はこっち来て。零ちゃんと新ちゃんは私の友達で通すから」

「……私もですか?」


 星の言葉に彩夏が首を傾げる。俺もそれは疑問に思った。


「……お母さん、彩夏ちゃんの大ファンなんだよね。見つかったら多分居座られる事になるから。そしたら未来君が出ように出られなくなるから。着いてきて」


 そう言って星はリビングから出る。俺と彩夏はそれについて行く。


「今友達来てるからちょっと待って!」

「分かったわ」


 星が限界へと声を張り、そして俺達を連れて一つの部屋に入る。


「こっち。……一応中に居とけば大丈夫だとは思うけど。鍵はかけられないし、普段からドアは開けっぱだから。閉めてたら逆に怪しまれるかもしれない。狭いかもしれないけど。押し入れに入っといて。良い? 絶対大声出したり動いたりしないでね」

「え、ちょっと待っ――」

「早く早く。ほら、彩夏ちゃんも……未来君、ちょっと足開いて」


 俺は荷物の無い方へと入れられ……体育座りの状態から足を開くよう指示された。


 その指示通りにすると、その間に彩夏がちょこんと座った。距離が近い。いや近いなこれ。


「それと、これ二人の靴。ごめんね。持っといて」

「あ、ああ。分かった」


 星が靴を二足渡してきた。それを受け取り……


「ほんとごめんね。すぐ終わらせるから待ってて」


 そう言って……星は押し入れを閉めた。視界が真っ暗になる。


 ……やばい。視界が暗くなると、他の感覚が機敏になってる。


 めちゃくちゃいい匂いするんだが。アイドルやべえ。推しやべえ(語彙力の欠如)


「あ、あの……もたれかかっても良いですか? この体勢、少し辛くて」

「あ、ああ。もちろん」

 小声で彩夏が尋ねてきたのでそう返す。


 次の瞬間……彩夏の背中の感触が前半身にきた。緊張で頭が真っ白になる。


 しばらくそうしていると……段々、暗闇に視界が慣れてきた。すぐ目の前に彩夏の姿があった。


 彩夏も目が慣れてきたのか……振り向いてきた。そして、どこかムッとしたような顔になった。


「未来さん。その体勢、体を痛めますよ」

「い、いや……しかしな」

 下手に壁にもたれれば音を立てるかもしれない。そうすれば一巻の終わりだ。すると……


「こ、こうしてください」


 彩夏が俺の腕を掴み……自分のお腹の方へとまわしてきた。


「い、いや……だが。これは」

「いいから。やってください。そのまま私にももたれるように……そうです。肩に顔を乗せてください」


 指示通りにするが……これだとまるで。


「……ふふ。ハグされてます、ボク。未来さんに」

 なにこれ? なんで俺推しを抱きしめてるの? 死ぬの?


「未来さん……心臓の音、凄いですよ?」

「うっ……仕方ないだろ」

 小さく笑う彩夏へそう返すと…………急に、手が掴まれた。


 次の瞬間、手が柔らかく、暖かい物に触れた。



 その奥からはドクドクと早い鼓動の音が聞こえ……


 え?


「ふふ。お揃いですね、ボク達」

「お、おまっ「しー、ですよ」」

 思わず声を出しそうになったが……彩夏の指が唇へ触れ、止められた。


 俺は彩夏の胸から手を離そうとしたが……上から彩夏の手が重ねられ、止められた。


「……良いんですよ。未来さんがさ、触りたいなら……揉んだり……ふ、服の下から触ったりしても。良いんですよ?」

「…………」


 耐えろ。理性頑張れ。本能なんかに負けるんじゃない。


「だ、だからな。彩夏。あんまり無理してそういう事をするんじゃ「無理はしてないですよ」」


 さらに強く。手が押し付けられた。


「す、少しは恥ずかしいですけどね。でも、それ以上にボク、嬉しいんです。……ボクの体で未来さんが喜んでくれるなら」


 大丈夫? この子。将来悪い男に引っかからない? おじさん心配だよ?


 誰か悪い男に引っかかるくらいなら俺が――



 ま、待て。俺は何を考えて? そんなのダメだろうが。俺なんかが彩夏を幸せに出来る訳が無いだろ。


「……むぅ。もう少しでした。残念です」


 彩夏のそんな言葉と同時に押し入れが開いた。


「みーくーるーくーん? 人の家でナニしてるのかな?」

「ほ、星!? いや、これはだな。その、男の性というかなんというか」

「へーえ? ならこんな事をしても文句は言わないんだ?」

「や、やめ、乳を近づけてくるんじゃ……」

「ふふ。逃げられると?」


 そうして俺は乳に包まれおっぱい。





 割愛




「じー」

 やばい。零からの視線が痛い。あれ、いつもと逆だな。このパターン。


「みーちゃん」

「は、はい!」

「帰宅後私とあーちゃんのおっぱい十揉み。その後感想の発表ね」

「怒る方向性間違えてませんかね!」

「断ったら私がみーちゃんの揉むからね。玉を」

「た、玉ですか!?」

「じゃあ私はお兄ちゃんのお兄ちゃん触る!」

「もうほぼ一択じゃないですか!」

「ふふふ……ちなみに帰ってからはぐらかそうとしても無駄だからね。今日泊まるから」

「う…………分かったよ」


 くそ……罰ゲームだと分かってるのに。良くない事だと理解しているのに。



 俺の心の中の欲望が喜んでる……


「素直になっちゃお? みーちゃん。おっぱいが揉みたい飲みたい触りたいって。なんならその先もしちゃお? 大丈夫。子供が出来ても私が責任持って育てるから。みーちゃんは何も考えなくて良いんだよ?」

「それは絶対ダメだろ!? 俺はそんなヒモのクズ人間にはならねえ!」

「チッ……まだダメだったか」

「まだって何!? 俺をそんな怠惰な人間に堕とすつもりなの!?」

「まあまあ。とにかく帰ってからやるからね、みーちゃん」

「頼むから否定してくれ!」


 と、そんなやり取りをしていたら。くぅ、と可愛らしい音が鳴った。


「え、えへへ。ごめんなさい。さっきは味見ぐらいしか出来なかったので」

「ああ。もう昼だしな」


 時計を見ると、もう一時を過ぎている。俺は立ち上がった。


「じゃあ、みんなの分作ってくるぞ」


 ◆◆◆


「……未来君って料理出来るの?」

「ん? 出来るよ?」

 星ちゃんへとニコリと笑いながらそう返す。みーちゃんの手料理は久しぶりだから楽しみだ。チーズみたいにハンバーグの中にみーちゃん汁が入ってたりしてないかな。


「というか、みーちゃんは基本何でも出来るよ。勉強も運動もそこそこ出来るし、料理はもちろん裁縫とかも出来る。歌も絵も決して下手じゃないよ」

「……え? それでなんで振られたの? 私達」


 星ちゃんの言葉に思わず……苦笑いをしてしまった。危ない危ない。みーちゃんの前ではやらないようにしないと。


『こんなんじゃ足りない。誰にも負けないような、自分が誇れるような技を持ってないと。零に並び立つ資格は無いんだよ』


「ってね。言ってたんだ。だからみーちゃんは自分の才能がどれなのか確かめるために色んな事に挑戦したし、いっぱい努力した」


 毎日毎日。料理の時はお母さんに習ったと言っていたし、絵や小説などの芸術にも独学で挑戦してた。



「……全部、そこそこいい線はいってた。でも、それ以上はいかなかった。もちろんみーちゃんは今でも努力は欠かしてない。いつになったら才能が花開くのか、とかも分からないし」


 だけど……私は思うのだ。



 みーちゃんは努力なら、だれにも負けないんじゃないかって。


 それに……


「私はみーちゃんのそんな所が大好きだからね。誰よりも努力家で、優しいみーちゃんが」



 思わず頬が緩む。


 みーちゃんは人の事は放っておけない性格だ。迷子の子がいたら自分から声をかけようとするし、重い荷物を背負っているお年寄りがいたら荷物を運ぶ手伝いをする。

 道端にごみが落ちてたら拾ってビニールにまとめるし、困っている外国の人が居たら積極的に声をかける。最近だとスマートフォンで翻訳も出来るから、と。



 実際、中学に入った頃からは少しずつ自信もついていた。



 でも、ある時。事件が起こったのだ。



 私は……みーちゃんから自信を奪ったあいつらは絶対に許せない。



「……れ、零ちゃん?」

「……ううん。なんでもない。ちょっと考え事してた」


 気がついたら怖い顔をしていた。私は頬を揉んで表情を戻す。


「でもさ。聞けば聞くほど不思議なんだよ。どうして私とか彩夏ちゃんが告白するのおっけーしたの……?」

「ん? ああ、それはね――」


「ハンバーグ出来たぞ」


 星ちゃんの質問に答えようとしたら、丁度みーちゃんが来たのだった。

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