第2話 2通の手紙

 ある時、Aちゃんの家に匿名の手紙が届いた。

 白い封筒に入っていて、Aちゃんの住所がちゃんと書かれていた。

 恐る恐る封筒を開けると、中にAちゃんらしきイラストが描いてあって、胸を包丁で刺されている場面だった。


 Aちゃんは怖くなって捨てようとしたけど、もしかしたら、警察に届けるかもしれないからとお母さんは取っておいた。


 それから、1週間後にまた別の手紙が届いた。

 同じ封筒だったから、同じ差出人だろうと思ったが、やっぱりそうだった。


 Aちゃんらしき絵だけど、四肢が切断されていて、血が噴き出しているというものだった。


 Aちゃんはもしかしたら、親友のBちゃんがやったんじゃないかと思ったそうだ。

 Bちゃんは絵がうまくかったから。それに、自宅の住所も知っている。

 

 でも、Bちゃんには好きな時、絵を描くような自由はなかった。親がすごく厳しくて、習い事が毎日あったし、漫画なんか読んでと怒られたそうだ。家族にはいろいろな問題があった。

 

 一方のAちゃんは親がゆるくて、ダンスやボーカルレッスンなど好きなことをさせてもらっていた。しかも、家族の仲が良くて、家族で頻繁に旅行に行ったりもしていた。BちゃんはAちゃんの家のことも羨ましかった。


 AさんはBちゃんから無視されるようになった。どうしたのかと思ったけど、ある時から、もうAちゃんと付き合わないことにしたと他の友達から聞かされた。Aちゃんは他にも友達がいるからいいや、と思ったそうだ。

 2人は学校でもほとんど口を利かなくなった。ちょっと前まで親友だったのに、嘘のようだった。



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