第2話 ウィルスと戦火と関の山

ウィルスという 微小な 生き物ですらないものが教えてくれたのは

ひとえに 儚さ ということである

今でこそ馴化と麻痺と弛緩の中にあり

あの頃の不安は忘れられつつあるが

何故生きる という青臭い問いに晒された人は 

わたしだけではないはず(と信じている)


感染症禍があり 戦火があり

物価の上昇はとどまることを知らず

デジタルに移行しつつも

反作用としての アナログな人間心理と情念で世界は混沌とし

終末観は感ずれど

まだまだ終末はこんなものではないとも思う


ディストピアを予感し物憂い

清貧の戻れという 団塊の無責任な物言いに

耳を傾ける気にはならない

実体のない経済活動に邁進し 上昇したいとも思わない

さりとて 今後のディストピア・ショーを 甘受する気にもならない

せいぜい 節約しないとなと 好きな本を数冊諦めるのが関の山だ

職務で忘我し 谷川の詩を読んで感心するくらいが関の山だ


世の変化に震えながら

身を縮こませて

受け身に 人生を経験して

わずかばかり 個人的哲学に上積みをして

儚さを自覚しながら

生命活動と生活行動を行うのが 関の山だ

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