第2話・アンノウンな彼女の嫉妬
《じゃあ、校舎の近くで邪魔にならないように、待っているからね》
そう言って、デルタな彼女はオレの教室から見える位置に、空中停止して待つ。
次の授業は体育で、陸上競技の授業だった。
体育着に着替えたオレは、陸上トラックが描かれた校庭へと出る。
校庭では他クラスの女子生徒が、校庭を周回していた。
(なんか、女子の体育着姿っていいよなぁ)
オレそう思って、走っている女子生徒を見ていると、校庭に閃光のビームが垂直に降り注いだ。
《なに、女の子ばかり見ているのよ!》
デルタな彼女から発射されたビームは、校庭を移動して生徒たちの悲鳴があがった。
数十分後──ビーム兵器でえぐれ、荒れて熱核反応の検査が行われているブルーシート校庭から少し離れた場所で。
オレは、頭上に浮かぶデルタな彼女を睨む。
「なんで、校庭に向かって光線なんて発射したんだよ! 校庭使えなくなっちゃったじゃないか!」
《だって、走っている女の子ばかり、目で追っていたんだもん》
「見ていないって」
《間違いなく無意識に見ていた、あたし視点測定でどこを見ていたかわかるんだから……まぁ、今回の強ビーム発射は少しやり過ぎたから、反省するゴメンにゃん♪》
デルタでアンノウンな彼女──『嫉妬深い』他の女の子を見ていると強烈なビームを発射する。
そして『反省するのも早い』──反省して謝る時に、ネコ好き男に対して語尾に『にゃん♪』を付ければ、すべてが許されると思っているコトが判明した。
《許してにゃん♪》
デルタな彼女に、小さなデルタがネコ耳のように突き出す。
「オレも女の子を、目で追っていたのが悪かった……ゴメン」
《わかればいいのよ、わかれば……にゃん♪にゃん♪》
デルタでアンノウンな彼女と接して判明したコト──にゃん語尾も、過度に過ぎると、次第に腹が立ってくるコトがわかった。
昼食──オレは屋上で買ってきた、焼きそばパンを食べながら牛乳を飲んでいた、
空中に浮かぶデルタな彼女が言った。
《あたしも……食べてみたいな》
「食べるコトができるの? 食べているの一度も見たコトないけれど」
《わかんないけれど、今ならできそうな気がする》
オレは彼女に指示されて、屋上の少し離れた場所にもう一個食べようと思って買っておいた、焼きそばパンと飲みかけのミルクを置いた。
(どうやって食べるのかな? 下降してきた三角形が焼きそばパンと牛乳に
オレが興味深々で見ていると、彼女の下部から柔らかい光線が焼きそばパンと牛乳に照射されて。
フワフワと浮かび上がった焼きそばパンと飲みかけの牛乳が、デルタな彼女の中に吸い込まれて消えた。
そして数分後──カラカラに干からびた、焼きそばパンと。圧縮されてぺチャンコになった牛乳の容器が彼女の中から外に放り出された。
《ごちそうさま》
オレが乾燥したパンと、厚紙のようになった牛乳容器を手に取ると、水分と養分を吸収された、パンと牛乳容器は崩れた。
《吸引ビームで吸い上げる他にも、あたしの体こんな食べ方もできるって気づいたよ》
デルタな彼女の円の部分が開いて、鋭い牙が円周する、アノマロカリスのような口が現れる。
「うわぁ!」
《へへへっ、スゴいでしょう……この口で君を食べちゃうぞ》
「うわぁぁ! やめろぅ! 降りてくるな」
《冗談だって……ねぇ、そろそろ、あたしたち互いを名前で呼び合わない……ずっと、君とかカレシとかカノジョって呼び方も変だよ》
「なんて呼ぶんだよ、だいたい過去の記憶が無いから、自分の名前もわからないんだろう」
《だからぁ、あなたが呼び方を決めてよ……あたしも、あなたの呼び方を考えるから》
「アンノウンの名前か」
オレは彼女をよく見て、浮かんだ名称を口にした。
「『デルタ〔Δ〕』ギリシャ文字の四番目の文字……第一印象で決めていた」
《デルタかぁ、悪くない……それじゃあ、君の名前は……》
「オレは本名でいいよ」
《そんなのダメだよ……あたしが横文字だったら、カップルの呼び方バランスがとれないよ》
(呼び方のバランスってなんだ?)
彼女……デルタから、グリーン色の光線がオレの体に浴びせられる。
オレの全身がエックス線撮影をされたように、一瞬だけガイコツに変わる。
「うわぁぁぁ!?」
《う~ん、内部を透ししてみたら。名付けのヒントになる特徴があるかと思ったけれど、普通の骨格だね》
「怖いことするな!」
《そんなに怒らないでよ、ごめんにゃい♪怒ると周囲から角っぽい人に見られるよ……そうだカレシの名前決まった『スクエア〔◇〕』四角って意味だよ、デルタとスクエアで誰もが羨むカップル爆誕決定!》
デルタを観察していてわかったコト、パート2……デルタは『周囲から公認された、目立つカップルになりたがる』
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