第85話 妖精カーナの冒険4(レベル60)

◆皇国エール工房の屋根

カーナ視点


ヒュウ


気温▪▶18度

風向き▶南南西/微風、風力3

天候▪▶晴れ


さて、良い日和になりました。

旅立つには最高の条件です。


私は現在、皇国エール工房の屋根に乗って、景色を堪能しております。

辺りはエール工房とたいして変わらない高さで、いわゆる平屋の赤茶の屋根が続き、かなり先まで密集した家屋が並びます。


因みに私の現状は【置いてきぼり迷子妖精】で、あります。

おまけに寝起きボサボサ、頭ぼけぼけです。


寝起きで良い案が浮かばず、安直に高い所に登れば何か良い案が思い付くと期待したところ、頭クルクル中パッパで五里霧中でした。


致し方有りません。

これは普段から行き先や私のお世話を家来ハンス、モルト君達に丸投げした、考える事を忘れたカナリア状態。


更に云えば昨晩、ナビちゃんから作為的ステイタス更新を受けて《方向音痴》なる新スキルを頂いたせいであると理解しました。


ピロンッ

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◆名前▪▪▪▶カーナ▪アイーハ

◇レベル▪▪▶60

◇素性▪▪▪▶現代日本からの転生者。(元VRゲーム【フローラ▪フェアリー▪オン▪ライン】のアバター、花妖精として異世界に転生してしまった社畜、愛原 かなえ。享年29歳)

◇容姿▪▪▪▶金髪▪碧眼▪白い肌▪長耳▪背中に蝶の羽根(レベルで色変化、初期、銅色)▪美幼女

◇身長▪▪▪▶10センチ

◇衣服▪▪▪▶春のワンピース(淡ピンク)

◇種族▪▪▪▶花妖精(妖精族新種)

◇性別▪▪▪▶女

◇年齢▪▪▪▶1歳(寿命▪未設定)

◇身長▪▪▪▶10cm

◇体重▪▪▪▶秘密

◇バスト▪▪▶絶壁(成長次第)

◇ウエスト▪▶これから(さあ?)

◇ヒップ▪▪▶まだまだ(ガンバ)

◇特技▪▪▪▶タンバリン応援(?)

◇スキル▪1▶亜空間収納

◇スキル▪2▶言語理解

◇スキル▪3▶銀鱗粉【回復】

◇スキル▪4▶【小さな箱庭グリーン▪サンクチュアリ】

《範囲∞ (但し気力100以上が必要▪現在気力値83/100)》

◇スキル▪5▶お煎餅の家(ログハウス)

《毎日お煎餅が出るお茶請け皿/バスタブ温泉セット(ウォシュレットトイレ/泡ジャグジー/シャンプーリンス付き)》

◇スキル▪6▶ご褒美セット

◇スキル▪7▶テイマー

《従魔▷聖獣フェンリル(個体名ヒューリュリ)/聖獣雪ウサギ(個体名いっぱい……)/魔獣コッコドゥ(個体名??)》

◇スキル▪8▶花召喚

《召喚可能▷ガーベラ/チューリップ/オオイヌノフグリ/フリージア/エーデルワイス/菜の花/ヒヤシンス/大根の花/大根(根)(ぬか漬けセット付)/向日葵ひまわり◇お茶の木◇大麦(ビール&パンセット付)◇ホップの木》

◇スキル▪9▶妖精召喚

カーナの煩悩が限界突破上限を越えた時、無意識に異界(妖精界)から欲しい妖精を召喚できる。《煩悩ゲージ:120/100》

(煩悩限界突破中/次回限界突破上限300)

◇召喚済み妖精▪ビール妖精(モルト君)

◇スキル 10▶方向音痴(パッシブ)

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はあ、スキルもいつの間にか10ッコ目ですか。

………色々と突っ込みが必要のような気がします。

何だかナビちゃんに遊ばれている気がする、のは気のせいでしょうか?


は?

方向音痴ってスキルなの??

って、要らんがな、そんなマイナススキル!


しかもパッシブ常時って何?

確かに前世は方向音痴でショッピングモールは鬼門でしたよ?

だからといってスキルに昇格する必要はないんじゃない?!

神よ、私にグーグルマッピングを!!






『コケッ?』


あ、因みに私に新しい家来が出来ました。

見かけはクリスマス七面鳥ですが一応、魔物だそうです。

頭はいいようなので、今は私の馬代わりにしました。

いわゆる○ウシカ状態です。

カモシカ?

キョン?



そして言葉は分かりませんが以心伝心、ボディーランゲージで意志疎通はしております。


何しろ妖精の私と云えどチキン語は判りませんから。

もちろん北京ぺきん語も判りません。


え?北京ぺきん語、知らない?

北京ぺきん訛り中国の方です。

(これ本当。中国標準語は別に有り、日本の大阪弁や博多弁みたいな扱い)


脱線しましたが、私に新しく出来た家来?下僕?は見かけニワトリな鳥?でした。

言葉が分からないのは聖獣との差なんでしょうが、結果的には別言語ボディランゲージが通じたので問題はありませんでした。


えっ?無理やり家来にしたんだろうって?

そんな鬼畜な事はしませんよ。


何か青い顔でやたらお辞儀してきたので、私を神様だと思ってるのかなーって背中に乗って指差したら、その方向に走ってくれたので、おおラッキーっ!

乗り物ゲットやねん、だった訳です。


はい?何言ってるか分からない?

もう一度言いますね。


【非常食ゲットやねん】


あれ?何か違いました?

ん?

クリスマス七面鳥がプルプル震えてます。

やっぱり羽根無しじゃ寒いみたいです。

それにしても彼は何故、羽根無しなんでしょうか?

まあ、深く突っ込むのは止めましょう。


だけど名前がクリスマス七面鳥じゃ可哀想ですね。言い辛いし。

せめて何か独創的な名前が欲しいところです。羽根無し?サンダース?んーん?つまらないですね。

だいたいフランチャイズ店の名に拘り過ぎです。

そういえば最近、食べたいなと思っていたものがありました。


それは【手羽先】!

ほら、名古屋名物『手羽先』ですよ。

え?知らない?

勿体無いですね。

手羽先を知らないなんて、人生の半分を無駄遣いです。


あのコリコリした軟骨部分や、甘辛の味付けはビールのお供に最高ですよ。

前世、慰労会で手羽先が出たら私なんか夢中で頬張って、直ぐに言葉を忘れたカナリアになっちゃいますから。


大体、1羽のニワトリから2本しか取れない贅沢部位なんです。

確かに 肉付き少なめで物足りなさがありますが、この物足りなさがとてもいい。

もう、骨に付いている肉をカミカミしながら時間をかけて食べます。

すると噛めば噛むほど旨味が出ちゃう。

ここで大ジョッキを一気にあけたら、くはーっです。


尚、手羽先は手で持って食べましょう。

ハシやホーク、ナイフを使う人がいますが、はっきり言って無駄です。

結局うまく食べられませんからね。

途中から手を使う事になります。

だいたい私だけは上品よ、なんて、さも自分だけ綺麗な食べ方を実践してますアピールする人は手羽先を食べる資格がありません。


両手を使い豪快にかぶり付く。

やっぱりコレに限るでしょう。


実は手羽先には脂肪分とコラーゲンがたっぷり含まれています。

軟骨部分もありますから、これにかぶり付いたら様々な肉質を堪能出来るわけ。

ジュルッ、あ、思い出しただけでヨダレが出ちゃいました。


ところで手羽先は元々、捨てる部位としてされていました。

それを上手く料理したら、絶品だったというのが手羽先が生まれた最初です。


だからね。

今まで捨てていたものを見直したら、新しい食材に出会えるかも知れないという、ありがたーいお話でありました。

メデタシ

メデタシ



あら?アナタ、何でまた震えてるの?

大丈夫よ、非常食だから直ぐには食べないから。

え?信用できない?

気にしない、気にしない。


あれ?おかしいなぁ。私、何の話をしてたっけ?


『コケ………』


あ、アナタの名前を考えてたのよね。

そうそう、名前、名前、もう、面倒だわね。

いいわ決めた!


アナタの名前はテバサキ。


様々な学術的見解から導き出した最高の名前よ。誇りなさい!



て、適当に決めてないわよ……





ピロンッ

(魔獣コッコドゥの個体名がテバサキに決まりました)

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