第4話 田中成海と雨
授業が終わり、終礼を終え、スニーカーに履き替えてグラウンドを見ると、雨!
折り畳み傘は、机の横にひっかけてある。面倒だったけれど、制服の上半身は白いシャツで、濡れて肌に張り付くのは恥ずかしいし、気持ち悪い。しかたなく、自分を奮い立たせて、また上履きに履き替える。教室は3階。大体の生徒は帰宅するか、部活動に向かっているので、もう誰もいないだろう。重い足を1段1段持ち上げて教室にむかう。
何とか教室の前に辿り着き、ドアに手をかけようとしたたその時。
教室の中から、下世話な笑い声。男子が何人か残っている。この中に入るのは、ちょっと億劫だけど、仕方ない。どうせ奴らには、私は目に入らないだろう。
その時だった。
「そういえば、田中ってさぁ」
田中?って私?
「…胸、でかくない?」
「顔はちょっと、あれだけどさ。」
「顔はまあねぇ。」
「ちょっと暗いしな?」
「何、おまえキョーミあんの?」
「ちげぇよ!」
(笑い声・笑い声・笑い声・笑い声・笑い声・笑い声・笑い声・笑い声・笑い声)
うわ。何だこれ。最悪のタイミング。しかも、何でこいつらに評価されなきゃいけないわけ?気が付くと顔にどっと血が集まってきているのがわかる。
変な汗と一緒に、目に涙が押し寄せてくる。
どの顔で言ってんのよ!顔がちょっとあれで悪かったわね!気持ち悪い!!
ドンッ
あわてて振り向いたら、何かにぶつかった。
顔を上げたら、今一番会いたくない人物第一位の、倉田大樹が立っていた。
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