第3話 ランチの時間=情報収集の時間です!

 この会社はランチの時間は女子だけで会議室を使わせてもらえるみたいだ。最高の環境だと私のテンションは上がる。

 私は無難に近所のパン屋さんのサンドイッチにした。みんなはお弁当だったり、買ってきたりしてるみたい。

 

 こちらの営業所は所長を含む営業マン11名と営業アシスタント4名の15名で構成されている。つまり今、この会議室には女性が私を含めて5人。情報収集には持ってこいの人数だ!


 初めは私に気をつかって、皆さんが話しかけてくれる。どこにす住んでるの?どこで働いていたの?趣味は?と無難な質問が飛び交う。不躾な質問だと彼氏はいるの?と聞かれる。私はいますよと答える。ここでいないと答えると営業所の誰は独身よ、とか言われて話しが長引くのであっさり終わらせる。


 テンプレな質問タイムが終わると、女性同士の愚痴タイムが始まる。人畜無害なフリをして良かった。お陰で思ったより早く溶け込めそうだ。


 男性の話しが飛び交う。Aさんはまた太った。Cさんはまた仕事でミスをした。部長のカツラが変わった。私は相槌を打ちながら興味のない話しを聞いていく。そしてやっぱり部長はズラだったかと納得する。


 そしてお待ちかねの黄金崎さんの話しが出た!どうやら新規の顧客の開拓に成功したらしい。転勤でここにきているが、家は長野のにあるとのこと。奥さんと子供二人は長野で暮らしていて、土日には絶対に帰っている。そして水曜日のノー残業デイには、絶対に定時で帰る。


 女性達はノー残業デイに定時で帰るなどあり得ないとぶーぶー言っている。


 何を言っているのかしら?ノー残業デイなんだから帰って当然でしょ?


 そもそも午前中の引き継ぎの時点で、この会社の社員は頭がおかしいのかしら?と思っていた。

 この会社の社員さんは残業は当たり前だと言っていた。月の残業時間は実際は60時間を超えているけど、30時間しか申告してないと威張っていた。部長ですらもそれに大きく頷いていた。

 ここまで来ると、愛社精神かなにか知らないけど、それは本当に必要な残業かしらと思ってくる。

 派遣で色んな会社に行くと見えてくることがある。残業する人には種類がある。


 残業代欲しさに残業をする人。これは最低ね。でもそれを許す会社も最低ね。


 残業する事で、会社の役に立ってるとアピールする人。これも最低ね。実際の仕事内容は定時で帰れる内容だったりするもの。でもそれで頑張ってると評価する会社も最低ね。


 残業する自分は偉いと悦に入っている人。これも最低ね。仕事を効率良くこなそうとする意思が見られない事が多いもの。でもそれを指導できない会社も最低ね。


 仕事ができない人。これは個人の能力だから仕方ないわ。でもそれを見極めれない会社が最低ね。


 そして仕事を過剰に与えられすぎている人。これについては気の毒を通り越して、いじめだと思っているわ。圧倒的に会社が悪い!


 働き方改革だなんだ言われてるけど、日本の企業のほとんどは、残業する人=頑張ってる人と見る事が多いのは事実。成果で見ない日本の企業体質にはウンザリしてる。だから私は派遣が良い。派遣良い。浮気探偵(仮)のためでもあるけど、正社員になるなんて馬鹿馬鹿しいと思ってる。

 ただ収入格差は否めない。私はセカンドワークで稼いでいるけど、できない人も多いのは事実。


 そんなちょっと難しい事を考えたらお昼休みは終わった。ここの会社はランチの時間は女子の愚痴タイムらしい。1時間付き合うのは辛いけど、頑張ってお付き合いしよう。情報収集はとても大事!


 と言っても今日聞けた大事な情報は一つだけ。ノー残業デイが怪しいと言う事。それだけ。だけどそれが大事とほくそ笑んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る