第16話 到着
四人は、馬車のから、ゆっくりと降りた。
目の前にそびえたつ白い塔は、天高くそびえ立ちそれは、スマホで写真を撮ろうとしても画面には、収まらない大きさだった。
メトセラ以外の真琴たちは、あんぐりと口を開け、上空の塔の先を探していた。
塔の前の重厚な黒い扉には、様々な裸の人間の浮彫で飾られていた。
ヨーロッパで見られる勝利の記念である凱旋門の様にただそこにどっしりと建っていた。
「すげぇー」
真琴は、門に近づいて行き、浮彫を眺めうっとりと見入っていた。
「音が聞こえるようだ」
響介も浮彫を人差し指で軽くなぞり、つぶやく。
絢音も声を発することを忘れて見入っている。
響助は、扉の後ろに回ろうとしたが、見えない壁にさいぎられ、後ろには行けなかった。
ギギギギッ。
重厚な扉が開けられた。
扉を開けたのは、二メートルを超える身長の筋骨隆々な門番だった。
彫の深い筋肉が美しい。
その門番の奥には、コロニクスが立っていた。
「ようこそ、白い塔へ。別名、”人間の塔”と呼ばれる」
「人間の……」
真琴、響介、絢音は、顔を見合わせ、メトセラの顔を見た。
メトセラは、そうだと頷いた。
「こちらへ」とコロニクスがくるっと回れ右をし、塔の入口へと進んで行く。
ほらと言う様に、メトセラは真琴たちの背を押した。
白い塔の中央には、大きな池があった。
目を凝らすと何か泳いでいる。
魚だろうか?
池の上は、大きな煙突のように上へ上へと繋がっていた。
真琴たちは、首を曲げて上に何があるか見つめていた。
すると、上から何か落ちてきている。
鈍い光を放っていた。
やがて、池の上で静止した。
それは、透明な球体だった。その一部が開き、通路が伸びてきた。
コロニクスは、ことらへと手招きすると先に進んで行く。
四人は、後に続いた。
球体の中に入ると、入口が閉じられ球体は上昇した。
上昇する重力は全く感じられなかった。
煙突のような壁には、所々に穴が開いていて、何かが動きまわっているのがわかる。
やがて、球体は速度を緩め、静止し出口が開かれた。
コロニクスが、同じように四人を先導してた。
そして、黒い大理石が引き詰められた部屋に到達した。
背もたれに二匹の大蛇が絡まりあい天に昇っていく彫刻の玉座があったが、姿が見えなかった。
コロニクスは、周りを見渡し誰かを探しているようだった。
「グベルナ様、人間を連れてきました」
と、声を張り上げた。
「今行くよ」と聞こえたかと思うと、玉座の後ろからキックボードに乗った子どもが現れた。
玉座の前に着くと、キックボードから降り、玉座に座りなおした。
「ようこそ、白い塔へ。私がこの塔の管理者であるグベルナだ」
栗色の髪の美形の子どもだった。
「久しぶりだな、メトセラ。植物の王が人間と一緒に?人間なんて嫌いだろ」
「知っているの?」
絢音が振り向いてメトセラに訊いた。
仕方ないなとメトセラが口を開いた。
「見ておかないとな、人間は何をしでかすか分からないからな」
「ああ、気付いたら教えてくれ。メトセラ、もっと話そうこっちへこい」
グベルナとメトセラは、奥に部屋に向かって行った。
グベルナは、振り向いて真琴たちに目を向けた。
「お前たちの事は、爺さんに頼まれている。ウルペース、案内してやってくれ」
玉座の後ろから、白い狐の面をかぶった女性が現れた。
白い衣は、うっすらと光っているようにも見えた。
「では、こちらへ」
真琴たちは、ウルベースについて行った。
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