第2話 セフレ

俺と美里(仮)は前からの知り合いだった。

美人だけど既婚者だから、その時点で俺の心にはシャッターが下りていた。

彼女に連絡先を渡されたけど、俺がそれをなくしてしまって連絡をしなかった。

そしたら、会社に電話がかかって来たんだ。

勤務先は知っていたから、探してかけてきたらしい。


俺がそんなに魅力的だったのか、他に適当なのがいなかったからなのかは知らない。


彼女の夫は金持ちでほとんど家にいない。

年齢は10以上離れている。

彼女は女優みたいに抜群のプロポーションで美人なのに、夫は外見だけ見たら全然釣り合っていない人だ。


用件は察しがついたけど、俺たちは普通に食事に行く。

しかも土曜日のランチ。

夜、出かけているとまずいからだろう。

俺と彼女も10以上離れていて、まるで上司と派遣社員の対話みたいになってしまう。俺は取り敢えず当たり障りのない話をする。


「専業主婦って平日何やってんの?」みたいな。

彼女の場合はほとんど家事をやってない。

ハウスキーピングの人が来てほとんどやってくれる。

料理だけは作るみたいだ。

スタイルをキープするために、少食にしてるから、料理をわざわざ作ってもらう必要がないそうだ。

旦那も家で食べない。


一日中、家にいて家事をやらないのは、豪邸で掃除しきれないからだ。

庭も庭師の人が来て手入れしてくれる。


外出は高級スーパーやデパートに行くくらい。

女の友達もいるけど、マウント合戦で疲れるらしく、月1回くらいしか会わないそうだ。趣味でお茶と着付けを習っていて、それで資格を取って、そのうち家で教えたいと思っていたが、旦那に反対されたそうだ。


こんな風に、やることがなくて本当に暇そうだった。

この先も何もない。

旦那が再婚で子だくさんだから、それ以上子どもを作る予定もないとか。


こういう人は、若い男と浮気するくらいしかやることがないだろうと思う。

浮気したからといって何が解決するわけでもないのだが。

それで俺なんかに白羽の矢が立ったんだ。

50代でヒモ・・・落ちぶれたような、嬉しいような、妙な感じだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る