第11話 ナマケモノ宇宙人に会う

 入ってみたら事情が違った、自称地元の名士の老舗会社。入ってしまったし、パッと見、仕事量は少ないし、収入も良いし、やってみるのも手かなぁと思ったり、でも、そんなグダグダなところを立て直すなんてモチベーションをもって入ってきてないし、騙された感が強いのは否めない。

 数日で、この人何もやってないなとわかるほどの薄っぺらい知識と仕事量の現場の上司。他の会社の学生実習生のほうがよっぽど働いてる。

 とにかく仕事が少ない。なのに毎日残業する上司。手伝おうとすると遮られ、これはなんですか?と聞くと隠される。そんな急に頑張らなくても〜と机に向かって振り向くたびに目の周りのラメが濃くなる上司。

 おそらく60歳前後のその女性上司。一見、にこやかで優しそうに見えるが、かなりの曲者だった。責任者でありながら、自分の好きな仕事は他の人に手を出させず効率は二の次、自分のしたくない仕事は他の人にさせている。他の人が接客で困っていようがお構いなしで逃げていく。日に日に目の周りのラメが濃くなり、もはや、宇宙人かウルトラマンの質感。

 従業員は会社の今の状況がわかっているのか、そのラメラメ上司に聞いてみると、社長はお金持ちだから大丈夫よ〜とのこと。

 ダメだこりゃ…。そうやって、仕事せずに、残業してお給料をむしり取ってきたのね。合間にする世間話からも癖の強さが溢れ出ている。変わっている。まるで宇宙人だ。

 

 仕事が極少ないのに、人が多い。時間だけ縛られやることがないのは地獄だ。更に、暇なせいで、同じく宇宙人の社長がことあるごとに、わたしを連れ出し、ちょっと一緒にと連れ回され、行く先々、会う人会う人に紹介される。その人たちの反応は、控えめに言って困り顔。地元の名士ではないのか?

 数日でもううんざり…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る