第10話 …からの衝撃
その男性の差し出した名刺には、なにやら聞いたことがない社名が書いてあり、わたしの頭にクエッションマークが5個ぐらい並んだところで、詳しい説明が始まった。
どうやら、老舗自慢をして気前のいいこの社長さんの会社は、業績が低迷して、銀行にお金を借りられなくなり、スーツの男性の大きな会社の傘下に入ったらしい。単体では買ってすらもらえず、他店舗の取締役さんの会社と合併してもらい、それならばとやっと買収されたという顛末も。
めまいがした。なに?この展開。
社長が言うには、老舗なので買収の話は他言しないで欲しいと。そして、一緒に立て直したいと。
優秀な奥さんと会社を二人三脚(想像するに社長がおんぶされて奥さんが走ってる)でやってきて、30年前に若くして奥さんが亡くなり、当時の従業員で奥さんと同じ歳くらいの女性の現直属上司が奥さんの役割を引き継いで、なんとかやってきたらしい。ただ、突然の死だったようで、その引き継いだ女性も何もわからないまま、社長も奥さんに任せっきりで細かいことはわからないまま、30年、なんとなくでやってきたらしい。
そんなだから潰れるんだよ…と言いたくなるのを飲み込んだ。
驚きすぎて、半笑いしか出てこないナマケモノ。そんな状態で、なんで、こんな高給で人を雇ったのかが一番疑問だった。
そこに関しては、スーツの親会社さん曰く、とにかく、業績がひどい上に、まともな従業員がいないので、新たにできる人を入れて、少人数で立て直したいと言うことらしい。社長も直属の上司も話が通じないので、まともに話せる人に代えて店舗を仕切ってほしいらしい。
色々思考が追いつきません。
スーツさんの謎の説得を受けて、とりあえず、考えを整理しながら出勤は続けてみた。
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