第7話 ハーブはどこに?

 そうは言っても、貯蓄が減っていく不安だけは、どうやっても拭いきれない。

 休みながらも、何か少しでも収入に繋がらないかと、もがくのですが、どれも、そう簡単にはうまくいかないのです。

 手近なところから、夫のお店を使って何か収入が増やせないかと、より積極的に手伝ってみたり、新たな商品を考えてみたり、体調を見ながら四苦八苦してみた。

 以前から気になっていたハーブティーについての勉強も始め、ブレンドなどもできないかと、ハーブを少量ずつ仕入れてみた。

 ひとつひとつの効能や特徴などを勉強し、組み合わせの例なども調べながら、実際に味を見るため、ブレンドの割合などを変えてテイスティングしてみた。ほんの少しの変化で、意外と味の違いがあるものだなと、効果と味を絶妙に決められたら、仕事になるかもしれないと頑張った。

 小さな紙コップを並べて、ブレンドや抽出時間を変えて試飲を続けていると、腹痛を覚えトイレに駆け込んだ。そういえば、届いてすぐにハーブティーを飲んだ時にも腹痛があったような…。日を変えて、試飲をしてみると、また腹痛を起こした。

 ハーブの入った段ボールは、作業机の上に置いたまま放置されるようになった。そのうち、その箱は、作業机の下に置かれ、次にあまり使わない棚に置かれ、今では、趣味の棚の一番上の、ステップがないと届かないところにある。

 そう簡単に、収入に繋がるような趣味には出会えない。もし出会っても継続して極める精神力と探究力と体力と持続力がないと仕事にはならない。

 凹むわたしに、夫は、とりあえず何も考えずに休めと言う。大丈夫としか言わない夫に、イラっとするのは、自分に余裕がないからだと自分に言い聞かせる。調子がいい時は、何だかわからないけど大丈夫なのかなと思えるし、結果、意外と大丈夫な場合が多い。

 家を建てて1年。とりあえず、数ヶ月は問題なく暮らせる貯蓄はあった。まずは、体調回復に専念して、できることだけをして暮らした。

 毎朝、娘を学校に送り、庭の花の手入れをし、掃除や洗濯、お店の手伝い、ご飯を作り、娘の宿題を見、好きなドラマや映画を観ながら寝る。忙しくない適度にやることがあるという最高のナマケモノ生活を満喫。体が楽だし、気持ちも楽しい。娘が喜んでいるのが嬉しい。帰ったらママがいるということを、理由もなく喜んでくれる。逆に今まで寂しい思いをさせていたことに気づく。

 これが続けばいいのにと思うが、このままでは、家のローンが払えなくなる。

 どうする、ナマケモノ。

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