●あるある話 その8 りんぼ

 最後の業界あるある話。テーマは従順。

ディレクションって難しいんでしょうね。

以下、プランナーをPL、ディレクターをDとして進みます。

こういうとき、オカルトの存在を信じたくなるけど、現代社会で丑の刻参りをするハードルが高いのがネックなんですよね。


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D「お前、神殿の資料集めるだけでどんだけかかってんの?」

PL「答え:パルテノン神殿出したら、なんでアブシンベル神殿じゃないんだってキレられたが、結局方向性が不明だから」

D「適当にしろよ、時間かけすぎだろ。何の形をしてても誰も見ないって」

PL「じゃあパルテノン神殿でいいじゃねぇかよ。向こうにこだわりあるのは分かったから方向性か舞台設定寄こせよ」

D「それは先方の話で察せないお前が悪いだろ」

PL「聞いたやないか。結果、舞台設定の詳細はねぇですって言ったのあっちやで。唯一でたギシリャ風からパルテノン神殿をお出しして激おこぷんぷん丸でっせ。アブシンベル神殿とか言ってきたけど、それはエジプトやぞ。どないせぇっちゅんじゃ」

D「お前のセンスの問題をすり替えんなよ。イベント関係のテキストの提出忘れんなよ」

PL「あー、はいはい…」


PL「舞台設定の詳細がないとダメなタイプって、やっぱあかんのかな…。超大作の映画じゃ普通だけど、まぁゲームやしな…。美術設定の考え方を知らなければ良かったんや」

PL「当たり前のように丸投げされ、外部関係資料も作らせ、それをコピペしてちょっと文章変えるだけのお仕事…。ディレクターってそういうもんなの?」

PL「深作欣二監督は、演技指導しとったな…。まぁ、映画の人やけどさ…、畑違いだけどさ…」

PL「ていうか、なんで俺がセリフやイベントの整合性を考えとるんや…? セリフ書いたのDじゃん。作者かつ全体を見る人が気づけないって、なんでやねん。お前の頭はエニグマか」

PL「セリフも説明口調多すぎだし…ソードマスターヤマト化してんじゃん。もういっそ俺に書かせろよ! しかも最初に言えや案件多スギィ! …現場猫がデフォルトなんか?」

PL「マップの構成資料、ギミック関係の整理して奴の脳との答え合わせ、矛盾とか変更の意見はことごとく無視…。Dの意見も他人のコピペやし…。もうやめて、PLのライフはとっくにゼロよ!」

PL「最初の方はほいほい従ってたけど、あまりにも歪や…。やりがい搾取って奴か、これ?」

PL「…いや、ネガティブはアカン。ポジティブシンキングが大事や。そもそもやりがいは皆無やしな! ただの搾取や! ヨシッ!」

PL「俺の生霊が奴を殺すその日まで頑張るんや…! そうに、もうすぐライブやイベントがある…、会社外の希望はある…!」

PL「俺…、この資料作成が終わったら、ライブに行くんだ…」


~資料提出後~


D「このイベント4がここにあるのっておかしいだろ」

PL「はぁそうですか(そこにいれたのお前じゃい。反対意見言ってもリフレクしたのもお前じゃい)」

D「発生する位置は…どこが適切だと思う?」

PL「そうですねぇ…(なんで俺の意見聞くんやろ、このD…。絶対否定する癖に、何故か俺の意見をコピペ改変したものを渡して来る癖に…)」

PL「それじゃあ…(まてよ…、言わないとどうなるんだ? 単なる遅漏なら、引き延ばして先に発射させりゃよくねぇか?)」

PL「…どこがいいんでしょうね? Dはどこがいいんです?」

D「は?」

PL「このイベントの移動場所っスよ。ぼかぁさっぱり分からないよ」

D「なんで俺が考えるんだ。お前の仕事だろうが」

PL「いえいえ、俺の意見ことごとく否定するんやから、もうそっちで決めた方が早いじゃねぇですか。俺の考えは間違ってると今までのことで分かってるんだから、出すだけ無駄やし。はりきってどうぞ!」

D「着目点の違う意見が出るのはプラスだろ」

PL「いやーもうマイナスっしょ。プラスになった事例ないやん。俺の着目点クソって、あなたが証明したんですよ。自信もって! さあ、はりきってどうぞ!」

D「…ここでいいだろ。イベント1の次だ」

PL「そこだと、イベント2のセリフの整合性が崩れますね。そもそも前提となる会話やギミックがイベント3で登場すんだから、おかしいっすよね。冗談はやめましょうや。何故ベストを尽くさないのか」

D「…」

PL「…(脳内再生で音ゲーの練習しよ…)」

D「いや、イベント1の次でいい。じゃあ、この方向で修正で」

PL「どう修正するんですか? 整合性を整えるセリフの全ての案とイベントの構成の方向性の詳細を提示してください」

D「それはお前の仕事だろ」

PL「繰り返しお伝えしますが、俺の意見ことごとく否定するんやから、もうそっちで決めた方が早いじゃねぇですか。俺の考えは間違ってると今までのことで分かってるんだから、出すだけ無駄やし。はりきってどうぞ!」

D「…」

PL「…(サビ直後のノーツがいつも混乱するんだよなぁ。バックコーラスに引っ張られるのよねぇ…)

D「…分かった。じゃあ俺が明日出す。その通りにしろ」

PL「はーい」


~次の日の夕方~


PL「そろそろ資料くださいな」

D「…ほらよ」

PL「冗談きついっすよ、たった2行の説明しかないじゃないっすか。しかもセリフの方向性しかないし、セリフ案が1個もないじゃねぇですか。そしてイベントの方向性はどこですのん? 出し惜しみやめて下さいよ」

D「は? それで出来るだろ? 書いてやっただけありがたいと思え」

PL「無理っす。そもそもセリフの影響範囲すら把握してないじゃないですか。イベント2、3、4、5、6、イベント関連のアイテム説明、マップのイベントチップの配置、看板の説明文等…、全部に関わってますよ。さあ、本資料をくださいよ」

PL「ていうか、そもそもセリフはセンス抜群のお前が出すものだろ。俺は校閲ちゃうぞ」

D「こっちは忙しいんだ」

PL「奇遇ですね。俺も忙しいんですよ」

D「…いいから仕事しろ!」

PL「…(音ゲーの練習しよ…)」


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