●あるある話 その2 かんがえるな、するーしろ

 業界あるある話。今回のテーマは疑問です。

意見を聞くことはいいことだし、出ることもいいことですが…。

以下、プランナーをPL、ディレクターをDで進みます。

疑問を持つ心を忘れちゃダメよ…。


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D「次回アップデートまでに対応するものリストを書いといた」

D「明日、その共有会をするから、それまでに資料みとけ」

PL「はいな」


PL「ファイルはこれか…。相変わらず主語と修飾語がねぇな…。どこのなにを指し言ってるんや…。グーグル先生に聞いたらGooooooooogleってなるよ」

PL「あれれ~? さっきから記入者がDになってるけど、どっかで見た文体があるよ~? それに主語と修飾語がある~!」

PL「これは妙だな…。Dに限ってそんなことはない…。どこで見たんだろう? 考えろ考えろマクガイバー…」

PL「…そう、たしか社内チャット中だ…。まさかとは思うが、一応調べとこ。サービスサービスゥ!」

PL「パターン赤! 他人のコピペです!」

PL「…まぁ、忙しいからね。しょうがないね。問題提起文だしね…。人の意見を拾うのはいい事やから…」

PL「Dのフィードバックコメントは…『直しましょう!』完!」

PL「全俺が泣いたwwww映画化希望wwww会議に来ねぇぞ、これ書いた人wwww原因不明の症状ですwwwwwww」

PL「…まぁ、忙しいからね。しょうがないね。他はまともやろ…!」

PL「これとか長文だし、きっとまともやろ! えーとなになに、『この問題にはメリットとデメリットがあります。メリットが大きいので対応はしない方向とします』かぁ」

PL「人類には早すぎる名文…! なんて斬新なんだ! メリットデメリットの詳細が書かれない故の圧倒的シンプルさ! 亜空間に放り出されたような衝撃が俺の頭を駆け巡り、単語という単語を頭から葬り去っていく! まさに奇跡体験…!」

PL「…まぁ、忙しいからね。しょうがないね。日本は行間を読む文化があるし、俺の読解力が化石やったっちゅーだけや。わびさびって奴よ。『閑さや岩にしみ入る蝉の声』の精神や。芭蕉テイストが大事や。日本には四季があるから」

PL「さすがに会議で詳細言うでしょ…うん…」


~会議の日~


D「はい、じゃあ対応会議をはじめる。モニターに映ってるリストの上から順に説明するぞ」

PL「わくわく」

D「…じゃあ、次。えーと、これは、たしか〇〇君が言ってたやつだな。『戦闘中のアイテムボタンが分かり辛い』」

PL「どきどき」

D「書かれてる通りなので、対応で。じゃあ次」

PL「!? ちょ、まてよ!」

D「あー?」

PL「書かれてる通りって、結局どうするのですか? 『直しましょう!』だけやんけ! 対応の方針は画面担当者に全面的に任せるということでいいのですか?」

D「当たり前だろ」

PL「念のため2回いいますが、D的にはボタンの移動もOK、色変えもOK、とにかく問題が解消されるなら何やってもOKって解釈でええんやな?」

D「そんなこと言われないと分かんないの?」

PL「すみません、分からないです(何故ならお前が自由にやってもいいと言っておきながら、結局自分の中の正解と同じ意見しか通さないからな…)」

D「あー? なんか言ったか?」

PL「ナンデモナイデース。備考にそう書いてくだサーイ」

D「ったく…。じゃあ次ー」

PL「わくわく」

D「『演出のスキップの実装について』。これも書かれている通りだ。メリットとデメリットがあって、メリットが大きいので対応はしない。じゃあ次ー」

PL「!? ちょ、まてよ!」

D「あー? またお前か…。担当じゃねぇんだから、ひっこんでろ!」

PL「忘れたのか? お前の一番のモンスター社員の思考をォ! Dィーッ!」

D「めんどくせぇな…。分かったから、さっさと言え!」

PL「はい。勉強不足で甚だ恐縮なのですが、メリットデメリットの詳細はどこにあるのでしょうか?」

D「は? んなもん書かなくても分かるだろ?」

PL「すみません、勉強不足だから分からないです」

D「はぁ…? そりゃあ…、いろいろだよ」

PL「いろいろとは…?」

D「は? そんなのも分からないの? あるだろ…、いろいろ」

PL「だから、いろいろって何があるんですか? 具体的にどんなものが?」

D「んー、…そういうお前は何だと思う?」

PL「なんで俺に聞くんですか。こちらは先ほどから分からないと言ってるじゃねぇですか。…あるんだろ、メリットとデメリットがよォ…」

D「あー…?」

PL「まさか、単語を書くだけで以心伝心すると思っとんか? お前の文章は呪いのビデオなんか…?」

D「うるせぇな…。メリットは…、あれだ。迫力のある演出があったらTwitterで拡散しやすいだろ。じゃ、次の項目…」

PL「逆に迫力ない演出時はどうすんねん…。ていうかデメリットは? 比べないと、吟味できなくねぇですか…? 方向性だって、いろいろ変わるじゃねぇですか…。例えば、演出に興味ない人向けにオプションで演出オンオフの設定を追加するとかよォ?」

D「…っせーな」

PL「さァ、言えよ…、てめぇの中の“メリット/デメリット”をよォー…ッ!」

D「あー! もういいだろ、対応なしっつったら、対応なしなんだよ! お前の意見なんか聞いてねぇんだよ! 次ぃ!」

PL「うーーーーい」ォライッ、ォライッ


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