第4話息子の笑顔

土日は進一が病院に行く日である。

相変わらず、ベッドにはウサギのぬいぐるみが置いてある。拓也が2歳の時買ったものだ。

拓也は一段と痩せた様に見える。

ウルトラマンの図鑑を渡すと喜んでいた。

「パパ、ボクいつ帰られるの?」

「もうすぐだから、頑張るんだよ!」

「うん、506号室のミキちゃん死んじゃった」

「そうか~」

進一はそれ以上話せなかった。きっと泣いてしまうだろう。

髪の毛は抜けて、身体はガリガリ。

進一は申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、出来るだけ明るく接した。

難治性と言えども、チャンスはあるのではなかろうか?


治療費は高いが貯蓄と会社のお金で何とかやり過ごしている。

夕方5時。夕飯の時間だ。

拓也は吐き気がするらしく、ゼリーとヤクルトを飲んだだけであった。

しばらくすると、

「拓也、また明日も来るからね」

「パパ、ギュットして」

と言うので抱き締めてやった。


その日の夜、拓也は容態が悪化した。

21時に病院から電話があった。

急いで。中森夫婦は病院へ車を走らせた。


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