第2話治療

拓也が小児白血病を発症させた。

夫婦だけではなく、お互いの両親親戚も心配している。

直ぐに化学療法が始まった。小児白血病は大人の治療薬より多い。

この病院は、同じ小児白血病患者や難治性の病気で入院している子供らに、勉強を教えたり、一緒に遊ぶスペースがある。

兎に角、進一と優子は力を合わせて小児白血病と闘わなければない。

優子は拓也に付きっきりで、進一は医療費を稼ぐために働きにでる。

治療費用が半端ないのだ。

橋社長に経緯を話して、残業をさせてもらうようにお願いし、毎日2時間の残業代を上乗せできた。


土曜日、病院へ行く。

治療薬を開始してから、拓也の髪の毛がどんどん抜けていく。

一緒に勉強したり、将棋をしたりして楽しんだ。

帰る時間になると、拓也は泣きそうな顔をする。

「拓也、あしたもパパがくるから。泣かないで!」

「うん」

拓也の返事は元気が無かった。土日は優子は休みの日。平日は毎日、病院にいる。

ある日、主治医は我々夫婦を呼び出した。

「拓也君は急性リンパ性白血病と言うことで治療してきましたが、なかなか改善がみられず、難治性のものと考えた方がよろしいかと。自治体と相談すれば治療費が戻ってきます」

「先生、それでも拓也は治るんですよね?」

「……最善の努力はします」

「なんで、言いきれないんだっ!」

進一は興奮していた。

「あなた、落ち着いて」

医師は2人を残して、部屋から出ていった。

とうとう2人はマイホーム購入のための貯金に手をつけた。

「すまん、優子。オレがもっと大企業に勤めていたら……」

「そんなの関係ないよ。進一だって、拓也だって一生懸命じゃない、わたしも。きっと治るよ!」

「うん」

2人は遅めの夕食を食べた。

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