第3話

 どれほどまでにあなたを求めたことでしょう。あなたが生まれてから今までの姿を全て見たいのです。


 その軌跡を私は体感し、全てを受け止めたい。できないことはわかっています。それでも、それでも。


 わたしはほしいのです。できないことに絶望しながら、文章を書いています。それがどれほど辛いか。


 可能であれば、あなた自身の体験を共有させてほしい。なぜ、神は共有させてくれないのでしょうか。


 私には不思議でなりません。あなたの思考に染まりたいのに。なぜ、一体化を許してくれないのです。


 人間という制約の中で、私は生きていけそうにない。あなた色に染まれない。ならば、いっそのこと。


 そんなふうに考えては、自分の気持ち悪さを実感して闇に耽ります。私の考えがいかに罪であるかと。


 罪悪感が内から広がり、衣装のように着飾って私は外に出ます。そうすると、皆んなが明るく見えて。


 その中でも一際、輝くあなたを見ると、取り込みたくなります。どうすれば取り込めるかと模索して。


 私はピエロになりました。あなたを笑わせたり、怒らせたりするピエロ。あなたを表情を魅るピエロ。


 あなたからの注目を浴びるため、私は魔法をかけました。自分の中のありとあらゆるものを利用して。


 でも結局うまくいきませんでした。私は怖かったのです。ピエロでない私をあなたに知られることが。


 恐ろしかったのです。自分の内側を見ることが。今まで蓋をしてきた分、溜めに溜め込んでしまった。


 溢れそうになりながら、零しそうになりながら、今まで我慢していたものを見せられなかったのです。


 結局、あなたを知りたくても、私自身を知られることを怖がり、逃げました。それも罪悪感と成って。


 私はあなたを鑑賞することにしました。あなたの表側しか見ないように、私の内側が見えないように。


 ただあなたが喜ぶ姿を、写真の中の笑顔を画面越しに見ています。これ以上干渉する気はありません。


 幸せになってください。それが私の幸せともなります。私の本望であり、私の中の希望となるのです。

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