第17話 小さな決意





 「ん! これ中にクリーム入ってる!」

 「ほ、ほんとだね‥‥! おいひぃね!」




 『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。』



 

 「な~に食べてんの!」

 

 「うわっ! りんちゃんかぁ‥‥びっくりし

 た‥‥。」


 「うわっ‥‥とはなんだ! うわっ‥とは!」


 「うえっ? どうひて八重先輩が?」


 「あ~ウチもヒマだったから来た。

 あと華、飲み込んでから話せ~笑」


 「先輩、受験生じゃなかったれすか‥‥?」




 『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。』




 どうも満木です。早速ですが、なんでしょう、この仲間外れ感。

 これはいかんなぁ‥‥コミュニケーションは人間関係においてとても重要、ここは自分から行くべきだろう!


 

 『やっぱり甘いものはいいよな~!』


 「うわっ! とーや君、居たの!?」


 

 うわっ‥‥とはなんだ! うわっ‥とは!


 

 「りんちゃん気付かなかったの? さっきか

 らそこで座ってたじゃん。」


 「あ‥‥マジ? ゴメン気付かんかった‥‥笑」


 『‥‥あ‥‥はぁ、そうすか‥‥あはは‥‥。』


 「すごい露骨に悲しそうだね‥‥。」

 「え、うぁ‥‥そ、そういう時もありますよ

 ぉ‥‥はは‥‥。」


 『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。』




……………………




 「こんちわ~、あれ‥‥サポーター?

 どしたのぉ、そんな隅に体操座りで‥‥?」

 

 「あっ、藍浦先輩。えーと‥‥」


 「サポーターさんね、りんちゃんに気付い

 てもらえなかったから萎えてるの。」


 「ちょっ、機嫌なおして~とーや君‥‥!」


 『うぉぉぉおん‥‥。』


 

 そうだよ‥‥どうせ俺はみじめさ!

 もう泣いちゃうぞ‥‥!



 「もーいいや、くそざこサポーターなんてほ

 っといてコンビニでも行こぉー!」


 

 この子には人徳が欠片も無いのか?

 それとも元気付けのつもりなの?


 

 「本当に!? レッツゴー!」

 「わ、私も!」


 「ちょっ、こはね! そんな事言ったらま

 たとーや君萎えるじゃん!」


 「いーじゃん♡ どーせメンタルもよわよ

 わなんでしょ~。」


 「おぉーいこはね!! それ!!」


 

 もう帰るぞ! 帰って寝てやるッ‥‥!



 「あーもう! とーや君も一緒に行こ!」


 『えっ‥‥? いいんすか‥‥!』


 「いや、逆になんでダメなん! さすがに萎

 えすぎでしょw」


 「そーだよ! 一緒に行こーよ!」



 あ‥‥あぁ君たち‥‥! 俺は嬉しいぞ!

 しかし、感動に心揺らいでいると‥‥。



 「じゃー、近くのコンビニまで競争ね。

 ちなみにサポーターも。拒否権ないから♡

 よーい‥‥‥」


 「よ~し、行くぞぉ!」

 「マジ? どゆこと!?」

 「ちょっ‥‥急です~!」


 『は!! ちょっと藍浦さんッ!?』

 

 

 彼女らはそう言いつつ、足を構えた‥‥!



 「スタート♡」





……………………




 「やった~! 1位~!」


 「うそ‥‥マジか、こはね早っ!!」


 「もー、2人とも飛ばしすぎだよぉ‥‥!」


 「はぁ‥‥はぁ‥‥みんな早いですぅ‥‥。」



 ゴール地点のコンビニで勝者(?)4人が話しておる。

 斯く言う俺はというと‥‥。



 「あ! とーや君やっと来た~!」


 『あ"ぁ‥‥はぁぁ! う"はぁ‥‥。』

 

 

 まぁ、察してください。 

 やっぱりこの子たち早い。



 「ざぁこ♡ のろま♡ なめくじ♡」



 それは言い過ぎ。



 「もーはよ行こ。走ったら暑くなったし。」


 『ちょ待て待て? 早っ‥‥。』



 八重さんが言ったのと同時に彼女らはスタスタとコンビニの自動ドアへ向かっていった‥‥。





……………………




 「う~ん! 美味しい~!」

 「はひゅう‥‥。」


 

 店内のテーブル席でアイスらしきものを頬張る、宇江原ちゃんと小栗ちゃん。

 俺は、4人席だったので1人ハブられてしまっている事に若干の疎外感を感じながらも、実は女の子とこんなことしたことが無いので、微笑ましい所存である。



 「はぁ~、最近は忙しくないし落ち着いて

 るから助かるわ~!」


 『あぁ、何でしたっけあの化物‥‥汚れ?』

 

 「違う~w けがれね! ウケる‥‥w」


 「無能♡ 脳みそすかすか♡ IQ虫以下♡」



 食ってるバニラアイスの味がしなくなってきたよ、トホホ‥‥。


 

 「てか、千咲‥‥食べ過ぎじゃね? さっき

 もなんか食べてたじゃん、太るぞ~!」


 「ムッ‥‥? だいじょぶ、だいじょぶ‥‥。

 ひゃんと動くから‥‥。」


 「だから、飲み込んでから話せ‥‥!」

 

 

 なんか、モッモッ‥‥て感じで食べててホントに小動物みたいだ。

 頬張ってるところがハムスター的な?

 なんかヒマワリの種とか食べてそう。



 「ねぇ、とーや君もこっち来なよ! イスな

 ら移動できるっしょ?」


 「そ、そうですよ! ひとりぼっちはさみし

 ーです!」

 

 『え‥‥あ、そう‥‥ありがと!』



 急いで片手にアイス、ガニ股で彼女たちのテーブルにガラガラと椅子を引きずっていく。



 「いらっしゃーい‥‥そうだ! 指スマしな

 い? 5人も居れば盛り上がるでしょ!」



 突然、宇江原ちゃんが言い出す。

 ええや~ん、何気に面白いんだよね。

 ハッ‥‥! 5人‥‥ということは、俺も含んでくれている!? ガチめに嬉しいんだけど!

 


 「それな! いいじゃん!」

 「いいね‥‥! 何から出そうかなぁ‥‥。」

 「罰ゲームも付けよ! 負けた人、4人分お

 やつ買ってくる! どう?」


 『おっ! いいなぁ‥‥絶対負けんぞ!!』


 「よし、決まり~♡ じゃ、はなちゃんか

 らスタート!」


 「うえっ! わ、私!? 指スマ‥‥‥‥‥

 じゅーいち!!」


 「はなちゃんオーバーしてるよ!」

 「明らかに人数より指多いじゃんw」

 

 「え!? あっ‥そうじゃん! 今のなし

 ~!!」


 「は~いw 減らせ~w」

 「はなちゃん下手くそ♡」

 

 「もぉ~お‥‥‥‥。」



 しゅんとしながら左指を下げる小栗ちゃん。

 本当にドジというかおっちょこちょいというか‥‥。


 

 「次私ぃ~♡ 指スマ‥‥‥‥6!」


 

 しかし、上がった指は8つ。



 『惜しい! 8だったか!』

 

 「むぅ‥‥じゃ次サポーター‥‥。」


 

 よしよし、とうとう俺の番だ。こういう時はだなぁ~!



 『指スマ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。』



 溜めて溜めて‥‥‥‥。



 「なになにw なに来んのw」


 『5ォ!!』


 

 ‥‥‥‥‥だが上がった指は3本。ありゃりゃ?

 ちと少なかったかぁ。

 


 「サポーターも惜しいじゃん♡」

 「あぶな! とーや君に負けたら恥だわ!」


 『ちょっと何すかそれ笑 んなこと言ってる

 と自分が負けますよ!』


 「望むところ~! 絶対とーや君には負け

 ん!」

 

 『まじすか笑 じゃあ八重さんどーぞ!』


 「おけ! 指スマ‥‥0!!」


 

 ついに出てしまった!

 なんと‥‥! 上がった指は0本!

 


 『うわっ! マジか八重さん!』


 「うぇーーーい!!」

 「りんちゃん強っ!」

 「うぇ~っ!! 勝てないよぉ‥‥。」

 「りんなつよつよ♡」


 『ハハハハハッ‥‥‥‥‥!』




 なんか、こういうのっていいな。

 俺は彼女たちのを役目を少しばかりだが垣間見たんだ、彼女たちの戦いを‥‥。

 彼女たちだって立派な学生‥‥。こうしているのが普通なんだと思う。

 

 

 「どしたのサポーターさん?」


 『あ、いやなんでも! ちょっとボーっとし

 てただけ。』


 「もう、よそ見してると負けちゃうよ~!」


 『あぁ、ゴメンゴメン‥‥!』



 俺がしっかりしなきゃな。

 彼女たちには少しでも楽してもらいたい‥‥。



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