第8話 これでも、サポーターなんだ‥!


 


 「まずは私から~♡ 

 やり方、分かるよねぇ~w」


 藍浦ちゃんがライセンスを渡してくる


 『あ、ハイ‥』


 

  タプタプ‥‥


    [ 認証されました ]



  ぽわわわん‥



 あ、あの時の光だ! そして‥‥


 「どぉ~♡ 似合ってる?」


 『おぉ‥‥すごぉーい‥‥』


 いかにも〝魔法少女〟っぽいフリフリした可愛らしいデザインの衣装。

 言っちゃ悪いけどあの時ちゃんと見てなかったから、こうしてまじまじと見ると圧巻だなぁ。

 全体的にピンクっぽい色してるし、やっぱリーダーはピンクなんやなぁって。


 『なぁ!なんか技とか出せるの?』


 あかん、俺、今めっちゃワクワクしてる。


 「えぇ~♡ やり過ぎると部屋が吹き飛ん

 じゃうからぁ~♡」


 藍浦ちゃんが机のペットボトルに向かってステッキ(かな?)をかざす。


 「これくらい‥えいっ♡」


 

   ボコッ!



 おぉ~! なんかハート形のちっちゃいやつ出た!

 そしてしっかりペットボトルが倒れてる!


 「ざぁこ♡ 所詮しょせんプラスチック♡ 飲み物し

 か入らない♡」


 そういう物なんだよなぁ‥ペットボトルは。


 「サポーター分かった~?」ビリッ‥‥ビリィ! 


 

 うわ! 何してんの? 何で衣装破いてるんだよ!?


 

    ぽわわ‥



  「こうすると解除なの~♡

  そんなのも分かんないのぉ? 笑」


 うわぁん、いちいちしゃくに障るよぉ‥。

 でも、これがこの子のコンセプトか‥。


  「次、私お願いしますっ!」


 おぉ! 次は笹山ちゃんか。

 〝元気系〟だからなぁ‥どんなデザインだ?



  タプタプ‥


   [ 認証されました ]


  ほわわわ‥


 

 おぉー、赤色っぽいデザインだ。

 1人ずつ、ちょっとデザインが違ってるのかな? なんとなくすらっとしたような‥。


 「どうですか!」


 『あぁ! 良いぞ! 情熱っぽい赤で、

 〝元気系〟ってのが伝わってくる!』

 

 「えへへ‥、ありがとうございます!

 じゃあ次、小栗ちゃーん!」 ビリリリィ


  ほわわん‥



 「ひゃいっ! サポーターさん、お願いし

 ますうっ!」


 『お‥おうおう! OK‥。』



……


 

   [ 承認されました ]


 

  ぽわ~ん


 

 「ど、どうですか‥‥?」



 薄~いオレンジにふわっと感のあるデザイン、髪飾りなんかも可愛いらしく、不安げな表情はまさに〝ドジっ子系〟‥‥うむ‥


 『イイ‥! 良く似合ってる!』


 「あ、ありがとうございまひゅ‥‥////」


 うん、イイ‥‥!


 

 「じゃ、次わた‥‥」

  


   ピロロリン ピロロリリン



 「あっ、ちょっとごめん‥ もしもし?」


 おもむろにスマホを取り出す白石さん。

 受験生だし、忙しい‥のかな?


 「えっ、はい‥‥分かりました、すぐ向

 かいます‥!」 ピロン‥


 『どうされました‥?』


 

 「この間の黄藤4丁目やつ、片付けきれ

 てなかったみたいなの‥‥!」


 

 「えぇー! やばいじゃんかぁ!」

 「つよつよ~♡」

 「ど、どうしましょぉ‥‥」


 『はぁ? ど、どういうこと‥‥?』


 「いいから、みんな急ごう!

 満木君も‥頑張ってついて来て!」


 そういってレジ打ち君(仮名)を渡される。

 何? なんかやらかしたの?


 

…………………………………



 『ハァアア‥‥ゼエ‥ハァ‥‥!』


 もー早すぎなんだよ‥あの子たちは‥!

 やっとこさ着いたぜ‥見えてきたぞ、あそこにみんな居るな。

 なんか探してるような感じか?


 「おかしいなぁ‥見当たらない‥。」

 「なんにもないよー!」

 「ざぁーこ♡ 弱虫ぃ♡ 隠れてないででて

 こぉーい♡」

 「わぁーん! ライセンスおどじぢゃっだ

 ぁぁあ!」


 もうわかんねぇなあ、これ。どうなってんだよぉ‥。

 この前は戦闘でボロくなってたこのあたりも、けっこうキレイに直ってるんだ。誰か整えてくれたのか。


 「‥‥‥‥けてぇ‥」

 


 ん? 白石さんか?

 ちょっと離れてて聞き取れなかったな‥。


 『はぁーい? なんてぇー?』



 「避けて!!」



 『えぇ?』


 どういうこと? よけ‥る? かな。

 何を避け‥





  ギャリリリリ! 

      ビシャッ‥ ポタッ‥ ポタ‥





 『いっ‥!ぅづ‥‥ぐ、あぁ!』


 背中に走る激痛、聞き慣れない音、身体を伝う暖かい不快感に思わず声が出た。

 

 え? 何が起きて‥


 おまけに膝から崩れ落ちてしまっている。

 コンクリに思いっきり膝を打ち付ける。


 早く‥立たないと‥



  ズキッ‥!


 『ぐっ、あぁあ‥ぐぅう、痛ぁあ‥!』


 やばい‥身体が動かせない程に痛む‥。

 遂にはうつ伏せで倒れてしまった。

 膝に向かって流れてきてるのは‥これは‥血‥だよな。

 

  ザッ‥ザッ‥


 なんか聞こえるな。

 きっと、俺の後ろで何か起こってるんだ。

確かめないと‥‥でも、痛みのせいだろうか、それとも恐怖のためか。

 

 振り向けない。


 「大丈夫!? 今すぐゆいちゃんに連絡し

 て!」

 「くっ‥! そっちでしたか‥!」

 「うっざーい‥‥」

 「ぁ、あぁあ‥‥あぁ‥! お願い‥ゆいちゃん

 ‥繋がって!」


 みんな‥来てくれてんのか。

 たぶん‥来ない方がいいぞ‥未だに何が起こったのか分からんしなぁ‥。


 「こはねちゃん! 私と笹山ちゃん二人

 で相手しとくから、満木君のとこで承認も

 らってきて!」


 「おっけぇ‥‥!」


 「はなちゃんは満木君のそばにいて、まもって

 あげて! あと、ゆいちゃんに連絡!」


 「わ、わかりましたぁ!」


 間もなくして、藍浦ちゃんと小栗ちゃんが

来てくれた。


 「サポーター! 悪いけど、ライセンスと

 承認機器借りてく!」


 『あ‥い、うら‥ちゃん‥!』


 

 俺、こんなんでいいのか。

 サポーターやるとか言って、もうへばって、おまけにお荷物なんて‥。

 なんもやってねーじゃんか‥。


 そんなの‥


 そんなの‥‥ダメに決まってるだろ‥!


 

  タプタプタプ‥


 『ぐっ‥ううぅ!』


 「だ、だめです! サポーターさん、そん

 なに動いたら‥!」


 『だい‥じょうぶ‥だ!』



   [ 承認されました ]



 できた‥‥出来た! これできっと‥。


   ぽわ‥

      ぽわわん

          ぽわぁ‥


 

  「藍浦ちゃんナイス!」

  「ありがとうございます!」

 


  よ‥し! これで‥。



  「ううん‥‥ちがう♡

   サポーターのおかげっ!!」


   ダッ‥!



 目を疑う速度、踏み出しの衝撃で起こった風で髪が舞い上がる。


  「あと少しだけ頑張ってくださいね‥

  絶対‥助けますから!」


 小栗ちゃんの声が安心を運んでくれた。

 手を添えてくれているんだ。おかけで振り向ける‥。

 が、俺はやっと理解する。そこにはあの時の化物のようなモノが居た。


 

  「許さない‥サポーターにケガさせて!」

  


 藍浦ちゃん‥サポーターになってすぐの俺を気遣ってくれているんだ。

 情けないなぁ‥俺。

 安心か痛みか、視界がにじんでくる。


  「消えろ♡ 雑魚♡ ‥‥喰らえ♡」


 彼女はステッキをかかげる。


   

  「 リジェクション~♡ 」


   

  ピカッ‥



   ドガガガガガガガッッ!!




 その瞬間、眩しいぐらいの光が化物を


 排除リジェクションした。

 

 

 


 「おつかれぇ~♡」

 




 




 

 

 



 

 



 

 


 





 


 




 

 

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