第6話 表は埋まった


 


 「これが私達、魔法少女の活動だよ。

 どう?びっくりした?」


 さっきから俺の開いた口は開いたまま。

 誰だって驚くだろ、そんなの。


 「まぁ‥続きは帰ってから話そっか。」


 白石さんは歩き始める。


 「そーしよぉ笑」

 「私ら出番なかったね‥‥」

 「そうですね‥‥」

 「う~ん‥」

 「てか、こはちゃんマジすげーわw」

 「さすがリーダーでしたよね‥!」

 


 あかん、置いてかれてる感がすごい。


 

 「いやーwまじビビったわ~wあの情報ガ

 チだったじゃんか~」


 「ほんと人騒がせですよ‥。」


 彼女らは談笑しながらセンターへ帰ろうと足を動かしている、今度は歩きで。


 『あの2人誰なんだよ‥‥。』


 そういえば面識のない子が2人居たな。

 もしかすれば金曜日に来てなかった残りのメンバーかもしれない‥。

 



………………



 

 「ナイスだったね~こはねー!」

 「そーでしょお笑」

 

 「す、すみません!私たち帰りますね‥」

 「じゃーね~お疲れー」

 

 「「「「「ばいば~い!」」」」」


 笹山ちゃんと小栗ちゃん、帰ったのか。

 ここだけ見ればただのスポーツクラブみたいなもんだな‥。


 「てか、ななみ~この人誰~?」

 「私も初めて会いました‥。」 


 「そーだね、今から紹介するね。」


 3人がこっちを見つめてくる。

 よし‥



 『初めまして、満木 桃弥 高校二年生で

 す。このチームでサポーターをさせて頂 

 くことになりました!

 未熟ですが、どうぞよろしくお願いしま

 すッ‥。』

 

 

 「「おぉー‥‥」」 パチパチパチ‥‥


 「やっぱ律儀だなぁ‥。」


 そんなに俺って礼儀正しいか‥?

 

 「てか、とーや君?高2なんでしょー。じ

 ゃあ、年めっちゃ近いじゃーんw

 別に敬語じゃなくていいし~」


 「先輩‥私たちも自己紹介しましょうよ。」


 「そうだわwウチら何にも言ってないわ~」


 やはりこの2人は残りのメンバーのようだな。メモ帳、準備しとかないと‥。


 「うちは八重やえ 凛奈りんなって言うの!〝ギャル

 系〟だからよろー!」


 ほう‥そんな方向性もあるわけだ。

 すらっとしてるし、口調もギャルっぽい?感じがにじみ出ている。そして、なんと言っても金髪長めの髪‥‥、本当にこんな人が実在していたんだ‥。



 「‥私は瀬々木せせらぎ ゆい

 〝大人おとなしい系〟だよ‥よろしくね。」


 ふむ‥分類はその子次第といった感じなんだろうなぁ。

 〝大人しい〟と言っても一概に寡黙かもくとは言えないようだ。現にこの子はニコっとしているし、清楚に近しいんだろうか。

 口調も落ち着いているし、ボブより長めかな? くらいのさらさら髪はイメージを後押しする。

 

 ともかく、これで全員の名前が分かったぞ! また覚えてくるか。


 「ちな、うちが高3でぇ‥」

 「私は高1‥。」

  

 これは個人的にメモっておこう。

 あ、そうだ。あとは‥


 『ちなみに2人とも、何曜日なら来れそうか

 な?』


 

 「あー‥うちは木曜と土曜。七奈美とおんな

 じ受験生だからね~。」


 「私は月曜と木曜と土曜、お願いね。」


 『あぁ、OK! ありがとう2人とも。

 これからよろしくお願いします。』


 「やっぱとーや君、律儀だわw」

 「私でもタメ口なのに。」


 『あ‥あはは‥慣れなくて‥ね。』


 「それなーwって、ヤバっ! もう模試の時

 間だわ‥。んじゃ、またねとーや君!」


 「私も、ちょっと用事あるから‥またね。」


 ‥‥‥‥。


 「2人とも帰っちゃうの?」

 「忙しーい♡」


 「うーん、また来るわw じゃーねー!」

 「お疲れさま‥。」


 

   パタン‥

 

 

 あぁ‥行ってしまった‥。

 いかん‥ほうけている場合じゃない。今分かったことは表にまとめておかないと‥。


 「ねぇ~、今日はもう疲れたし~、解散に

 しなぁい?」


 『え、あー、ええと‥』


 どうする‥? 俺が勝手に決めちゃっていいんだろうか。


 「いいんじゃない。こはねちゃんも頑張っ

 てくれてたし、桃弥君もびっくりしたと思

 うし。」


 『じ、じゃあそうしましょうか‥ね!』


 「桃弥くんも表を完成させてきてね。

 あと、しっかり休もうね。もう顔が疲れ

 てきてるよ?」


 あー‥言われてみれば、なんか急に疲れてきたかも‥。


 『は、はい‥今日は解散にしましょう。』


 「おっけー、じゃーみんな、解散!!」



 「ばいばーい笑」

 「おつかれー」


 『うん‥またな~!お疲れ様ー!』


 「私も帰るね、じゃ、また~。」


 『はい、鍵は閉めときますんで。』


 「ありがとー! ばいばーい」



  パタン‥‥


 

 みんな帰ってしまった‥。

 俺も帰ろ‥、そして今日はもう寝るか。情報量が多すぎて頭がパンクしそ‥‥。




………………




 「お兄ちゃん何してるの?」

 

 『えっと‥‥チームの子たちの表作ってるん

 だよ、誰がいつ来れるかとかな。』


 「バレーのチームだっけ?」


 『あぁ‥!そうそう、その通り!』


 「これが‥その表だよね?」


 『そうだけど‥』


 そうそう、もう完成するんだ。


 「えぇ‥‥何それ、さびし‥。もっと可愛く出来

 ないの?」


 う~ん、もう十分じゃないかな‥。

 確かに黒ペンでノートみたいにしたけど、これが一番見やすくないか?


 「なんか殺風景だよ! ここはこうして‥

 名前のところはちゃんと色分けして!」


 おうおう‥‥流石さすが、我が妹だなぁ。


 その日は桃花に教わっている内に終わってしまった。


 明日も頑張らないと、明日は午前10時からだから早く寝よ‥。


 

…………………



 日曜日、AM 10:00

 センターのトレーニング室

 


 『おはようみんな!さぁ早速今日のメニュ

 ーだが、アップからの持久力付けを重点的

 に行っていこうと思う、それから‥‥』


 どうだ、もうサポーターって感じじゃないだろうか。まぁ指示を出してるだけなんだけれど‥。

 今日のメンバーは笹山ちゃん、藍浦ちゃん、小栗ちゃん、そして白石さんの計4人。

 もう名前も完璧に覚えたんだ、我ながら称賛すべきでしょ。


 「ねぇ桃弥君、そういや連盟とサポーター

 の基本的仕事ってもう知ってる?あと、魔

 法少女についても‥。」


 『え‥なんすかそのマニュアル的なやつ‥』


 「あちゃー‥‥やっぱり。大丈夫、ちゃんと

 教えるからついてきてね!」


 『お、押忍!』



……………



 一旦、会議室に戻っているところだ。

 

 「はい、これ連盟の公式パンフレット。

 サポーターを務めるためにはこれの熟読か

 ら始まるって言われてるの。」


 白石さんが差し出してくれた。

 このパンフレットに仕事内容が記載されてるのか? まぁ見てみようか。


 「私は先トレーニング室戻ってるから、

 これの使い方も見てみたら戻ってきて。」


 え? 教えてくれるんじゃないの‥‥?


 そう言って白石さんは、あの時のレジ打ちの機械みたいなやつを出してきた。

 なんかライセンス? と一緒に使うやつだよね。


 「じゃ、頑張って~」



  パタン‥‥



 行っちゃった‥‥。


 うっし‥、早速読んでみるか‥‥。




 ちなみに俺は今も実感が沸いていないし、今の状況を信じてはいない。

 変な夢でも見ているんだろうか。

 魔法少女のサポーターって‥‥、俺は今、誰のために何をしているんだ?

 



 


 


 



 


 


 


 

 


 

 


 


 

 


 


 

 

 


 



 


 

 

 


 


 

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