第3話 恋よりも赤に近しい
心なしか頬も赤く染まっている。君の真っ赤な耳をみるのが好きだ。かわいいなぁ。でもかわいいというと、君は暗くなってかわいくなくなってしまうから僕は我慢して言うのをこらえる。僕が無理をして付き合っている、言わせていると思うらしい。
「赤いね、」
眩しい夕焼けをボーッと眺める君の横顔、あつくてあつくてしょうがなくて。冷房の効いた部屋に戻ろうと声をかけたけど、夕陽がみたいからと待つことになった。夕陽までの時間が長くて。そうかそうか、本当はあの部屋寒かったんだなと勝手に僕も卑屈になっていく。それでも君が待望の夕陽を見ている姿を、僕はかわいいと思う。思わずすきだよを言ったら耳まで真っ赤になってしまった。
この愛しい赤い生き物を保護したい。それはもはや恋ではないのだろう。恋よりも恋に近しい赤いこの気持ちは。僕の気持ちに他ならない。自分でもキモチワルイと思うけれど、それがお互いの愛のかたちなら、それもまたいいだろう。
君が重いというのなら僕が半分持つし、なんなら全部持つよというと君は遠慮するから。僕はしぶしぶ半分渡す。そんな感じでいいのだ。
近いなぁと思ったその何秒後には離れていってしまう君を、僕は猫だと思っている。ほとんど甘えてこないけど。ふらっと現れてくれた時の、あのなんともいえない、君の悩んでいる姿が僕はすきだよ。
今は夕焼けに染まる世界に君の居場所はあるんだよ
いなくならないでほしい
僕の願いはそれだけだ
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