第2話 恋よりも愛に近しい
愛してるだなんて言わないで
嘘臭い言葉の代表だから
私はいつだって逃げてきた。逃げちゃダメだと呟きながら。やらなくてはいけないことは大小あれど、全人類にある。例えば息をするとか。でもそれだけじゃ生きていけないから人を愛する。
酸素を吸って、声に歌に乗せて楽しくて歌い続けていたら、うるさい人になってしまった。楽しいときは笑っていたら不謹慎な人になってしまった。悲しくても辛くてもやることはやらなきゃと暗示をかけるうちに、心がこもっていない人になった。
心や気持ちの名前ってなんだっけ。こういう気持ちの時はどうすればいいの。腹へ胸へそうして喉へ、今私は、伝わっていますか。そう何度も確認してしまうのに、彼は受け止めてくれる。彼には面倒な私を見せることができる。
でも待って、それを愛と呼んでいいの
こんな私を、こんなの詳細はもう私一人ではわからない程の面倒な女を愛しているなんて言わないでほしい。
私は突き放すことにした、解放だ、私といるから悪いんだよ。私といると不幸になる。私が逃げたものが彼に降りかかってしまう。その時の傘に私はなれない。溺れていくのをただ眺められるのも気に食わない。甘い炭酸の海に沈んでいく。甘党だけど、これでは糖尿王になってしまう。それでも甘い言葉を少し待ってしまう自分が確かにいて。キモチワルイ
息をして、時々歌って笑って、マスクは嫌いな口を隠してくれる。息苦しいから歌うときは外す。解放だ。
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