恋よりも恋に近しい

新吉

第1話 恋よりも変に近しい

 おしいね、近い

 限りなく恋に近い、変だ

 つまり恋じゃない


「限りなくウーロン茶に近い」


 深刻な顔をして君が言うから、少し飲んだら薄いレゲェパンチ。君がよく頼む。カシオレよりかはまだいいけれど、僕はウイスキー一筋だから。いろんなお酒をちゃんぽんして飲む君が面白い。


 君が眩しく見えるのは、逆光のせいだ。この季節の夕方はまるで朝日のよう。このまま明るいままなんじゃないかと思う。君は僕の顔をみるなり不細工だねといった。しかたないだろう眩しいんだよ。目を細めている君だってとてもキレイだ。


 どうしてか君は近づいてきてくれないし、僕が近くにいっても距離が縮まらなかった。近くもないし、違うことばかりの僕ら。冷房避けのルーズな手袋を君が取る。綺麗な手が現れた。指輪のようなものはお互いを縛るからといってもらってはくれない。名前のある関係も望まない。責任が生まれるから。トモダチという不確定で不安定で不思議な名前のまま。このままか、死ぬまでこのままなんだろうか。


 僕は君を失いたくない。だからこの変な関係を続けている。それが時間も体力も失うことだとしても。人と付き合うことはお互いの何かしらを奪うものだと思うから。そして与えるものだ。イマイチ僕からのプレゼントは重いようだ。指輪にハンカチ、愛の言葉やブランドもの、態度に笑顔。いろんなものを与えようとしたけれど、うまくいかない。


 この気持ちはなんだろう

 目に見えない何か

 恋ではない

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