第6話 気合いと根性はだめ
渚「ふぅー歩くだけでもやっぱりしんどいねー」
翔「ほんとにな。息が切れるわけでもないのに、身体がおもくかんじるよ!ストレッチをしてここからが上り坂だもんな。なだらかなのに壁に感じる。一人なら引き返してたな」
渚「あと五キロだしね!頑張ろうよ!」
折り返し地点のな。
そう考えるとマラソン選手ってすごいよな。これを走り続けるわけだし。家から家まででそのくらいの距離だろうな。
一応、歩数計とカロリー計算はしてるから、補給もとってるし問題ないはずだし、水分も塩分もとってる。
クエン酸も摂取してるからケアは万全。
あとは身体が持つかどうかだな。渚には固い固いと言われるが身体も平均的な固さだよ!
翔「これって登りよりも下りのがきついらしいけどどうなの?」
渚「そうみたうだね!でも、気にしたら敗けだよ!あっここまで歩いてきたけどさ、なにか気づいたことはあるかな?」
翔「そうだなー。短時間の時はいいけどさ、長時間になってくると、左右のバランスは無茶苦茶大事になってきそうだな。」
渚「均等か~確かに大切そうだよねー。その辺りも考えないとだねー。」
まだまだこの時は余裕が多少はあった。
だがやはり、初心者には20㌔くらいがどうやら限界ゾーンかなと。
いや、これが山とかじゃなかったら30キロくらいかな。
若い若いと言われましても、トレーニングしてなきゃこんなもんだし、自分で言うのもどうかと思うけどさ、頑張ったよ俺は。
渚「うわーきっついねー!でも、景色きれいだよ!ここからだと私たちの町もよく見えるし、発展したねー」
そうなんだよなー。税金が高い理由その1と言うかほぼすべてなんだけど、この発展によるものが大きい。
ここは都会では確実になかったし、田舎だった。
大人たちは車なしではいきられないと口を揃えて言う。
とは言うものの、田園風景が広がってるわけでもないし、何とも中途半端な地域だ。
だがダンジョンがある。
復興はやはり大都市から行われていったが、それも昔だ。第7地帯なんて言われる、ここ十数年ほどで一気に開発されたわけ。
まぁそれより前に土地を買ってたわけだから、かなり価値が上がった。思いでとか形見ってのもあるけど、売らなかった理由が、それに陰りが見えてきた。と言うのも、ダンジョンから外へ出てくるモンスターは、低級だと信じられていたが、とうとう日本ではないが、中級のモンスターが確認された。
もちろんそこは管理が行き届いてない場所だったからかもしれないが、危険区域に指定されて簡単に売り買いができなくなってしまった。
そして買い叩かれちゃうわけだ。
なんて考えてみたけども、疲れがとれる訳じゃない。
翔「まぁ今後は落ち着くだろうし、このぐらいがちょうどいいよ。あーからだが重いー。も少しゆっくりしたいが夜になってしまう。行こうか。それにしても渚はまだまだ余裕がありそうやな!」
休憩もそこそこにすぐに折り返した。ここのハイキングコースは一方通行で、下りは町並みを見ながら歩けるから、景色を楽しむのは歩きながらでもできる。
渚「お母さんたちとジム通いしてたからね!!」
翔「そこは部活だろうに!と言ってもお互い帰宅部か。なぜに帰宅部だったんだ?」
渚「そりゃ、テニス部に入ろうかかんがえたけどさ、もう最悪よあの部活!!部長だかなんだか知らないけど、告白されて断ったら悪者。やってられないよ」
そう言えばそんなこともあったなー。
翔「渚は頭ひとつどころかぶっちぎりの美少女だしなー。それはそれで大変だよなー!」
渚「あの頃は思春期ってのもあって、私も色々と悩んだんだよ?お兄ちゃんにべたべたしてたらダメかなとか。でも、我が兄は回りのからかいなんか気にもとめてなかったからねー」
気に止めるもなにもだよなー。
翔「気にとめてなかったと言うか、言ってることが意味不明すぎたんだよ。女と仲良くしてるのはダセぇってなんじゃそりゃとしか思わんし、仮にそうだったとしても、渚に意地悪したら、俺の命すら危ぶまれるからな。あの四人の、渚と俺の対応の違いマジでビックリするからな。ノリなのはわかるけど、ちっさい頃は真剣に悩んだことあったからな。」
渚「そうなの?」
翔「そうだよ!よくグレなかったと思ってるくらいだし。」
渚「それはどうして?」
翔「結局さ、おれ自身が納得しちゃったんだよなー。同じ学年だけどさ、俺のが一年近く早く生まれてるわけだからさ、当然渚より物心つくのも早かったわけさ。回りと比べても早かったみたいだし大人びてたみたいだけどな。で、俺のあとを追っかけてくる渚を見て他の子達よりも圧倒的にかわいいと俺も思ったわけだ。四人の意見が子供ながらに理解できちゃった。それと同時に回りと比べてもあっ俺かわいくねぇわってのも理解できちゃったけどな。まぁそこから成長するにしたがって圧倒的な差がついちゃったけどなー。あっ回りのからかいなんかどっかのダブル親父の嫉妬と比べて何ともないからってのもあったかもな。」
あのダブル親父は俺と渚が仲良くしてるのがほほえましくもあり気にくわなくもありだ。お風呂を拒否された辺りからかな。
渚「えーー!お兄ちゃんも私のことかわいいと思ってくれてたの?ならなんで外にいるときより家の中の方がそっけなかったの??」
翔「それこそ、器の小さいダブル親父のせいだよ!家のなかと言っても母さんたちだけの時はそうでもないだろ?」
渚「確かにそうかも。お兄ちゃんも大変だったんだね。」
翔「あれはマジで疲れたなー。とは言っても、気を付けなきゃいかんのは朝だけだったけど、それ以外は元々俺が引きこもり体質だからだな。なのではっきりと言おう!俺の身体はすでに悲鳴をあげてると」
そうなんだよ!下りってこんなにきついとは思わなかった。!
渚「ちょっとメニューがハードすぎたかな?」
翔「でも、いってしまえば歩いてるだけだし、土日の探索は歩きっぱなしだからこれができなきゃ話にならないよな。無謀すぎたな俺は。だが渚が気づいてくれてよかったよ!この七日間で身体がどんな感じで動かなくなるかをしっかりと体験して、探索で無理をしないようにできるからナイスなメニューだと思うよ!まぁ20㌔だから気合いと根性で乗りきれる、、、と言いな。」
ちょっとどうなることやらだな。
翔「ちょっとストレッチの回数が増えるかもしれないけどいいか?」
渚「もちろんだよ!私もそんなに余裕がある訳じゃないしね!ケアしながら戻ろう!!」
身体はしんどいけどそこは下り坂。俺たちはペースを落とすことなく下りきったところで、ストレッチタイム。
ここでガッツリと休憩をとる。
トイレ毎に休憩と言うかストレッチもしてきたが、腰を下ろしての休憩はここが初。
翔「帽子もハットにしてよかったよな。日焼けというレベルじゃすまなそうだな。それに体感トレーニング用のインソールと言っても、ちゃんと足がいたくならないのも高いだけあるな。でこのストレッチと言うかマッサージのやつも、重くても持ってきたかいがあったよ!筋肉痛は残念ながら始まってはいるけど、激痛じゃないしな。」
渚「飲み物は、ゼリー状のとか、液体とか分けといてよかったね!気分で飲み分けれるし。あとは思ったよりも足以外の負担がおおきいなー。大昔の人は歩いて旅をしたって言うけどすごいよね!もしくは戦とかも」
翔「まぁ今よりも確実に体力はあったと思うな。はー大分感覚が戻ってきたな。やっぱりタイムアタックしてるわけでもないし休憩は重要だよな。あと、15㌔だし、平地だから気合いと根性で行けるだろ!」
渚「ぶー!気合いと根性はダメです!怪我した意味がありません!必要なのは休憩とケアです!身体造りが目的なんだから!」
おっと確かに言う通りだな。
そのあとは今まで五キロに一度立った休憩を、2.5キロに変えて動画も、歴史に変えて、声を出しながら、予習していく。
これが案がおよかったのか、英語に変えて、化学に変えて、気をまぎらわせた。
翔「ラスト2.5キロだな。家までかあと一時間か。10時間で終わりそうだな。いやー足がマジでがくがくだわ。それと思ったけど、やっぱり通信機はあった方がいいな。よくよく考えたら、探索中がいる訳だし。」
渚「それもそうだね!必要なとこはかけてかないとだね!」
残り少しだが、気持ちとは裏腹に身体が動かないから思いきって長めの休憩をとることにした。
翔「もうこの辺はよく遊んでたところだな。あの頃はここでもかなりの冒険だったのに、あんなに狭い範囲だったんだなー」
渚「ほんとだね。おっきくなったなー。でもさ、やってること変わんないよね!リュックもって、探索者ごっこ!」
翔「あの頃のが探索者に近かったなー。まあ探索者ごっこだったから当たり前かもだけど。走り回れてたから驚きだよ。あーラスト少しだ!」
早く、風呂に入りてー!!
だがここで焦ったらダメだ。
不思議なもんで、人間って適応する人間なんだなって思う。明らかに無駄が減ってるから。他派だ意識しないとダメなとこもある。
俺の場合は胸をもっと張らないとダメかな。姿勢が悪い。
そして、ようやくゴール!
翔「あーー達成感バリバリやな!」
渚「ここで、最後のストレッチね!途中のとはちがって運動終わりもまたストレッチの仕方があるからね!」
いやー清々しい。
クリアタイムは9時間20分。
予想よりも早かったな!
運動後のストレッチをしたら、シャワーを浴びた。
翔「あーー歩くだけでこれだとやってけれるか心配だけど一応は達成だ!だけど、1つ気づいたことは、もっと無駄をなくせるな。ストレッチも柔軟も最先端を取り入れよう。土台をしっかりした方が絶対にいいしな。俺たちのスタイルは、継続だ。気合いや根性は渚の言う通り身体の故障に繋がる訳だしな。あまあまだった。まずは、動作一つ一つを洗練させよう。歩く、走る、だけじゃなくて、他にもただ立ってるだけでも負担の少ない立ち方とか、座り方があるはずだ。で、俺のイメージと言うか渚と俺を比べて、動作の美しさがちがうきがしたな。これを踏まえると、動作は地味と言うか最小限かつ美しさがあるのが参考にする人の選び方なきがするな。ちょっとその路線で探してみるかな」
とそんなことを考えてシャワーから出たら、渚が待ち構えていた。
えっ?何?怖いんだけど!
渚「さあ、お兄ちゃん!疲労を蓄積させないためには、マッサージがいいんだよ!ジムで教えてもらったやつだから任せてよ!」
翔「スッゴい嬉しいけどな、一旦落ち着こうか。俺も必要だとは思うんだけどな、渚は経験があるのか?」
渚「ないよ!!」
いや筋肉って重要だろ?素人が手を出してもいいものなのか?ジムの人がどんな人かも俺には判らないし。
でも、必要なことではあるんだろうな。
翔「まてまてまて!一旦、湯船に浸からせてもらえないかな?でな、そのジムの人が間違ったことを言ってるとは思わないけど、ちょっと自分で動画を選ばせてくれ!!と言うか、試したいことあるから、時間をくれ!」
渚「確かに暖めた方がいいしね!なら沸かしてくるよ!」
翔「すまない。助かるよ!俺は防水のパソコンを持っていくから」
渚「そだ!湯着切るから一緒に入って、そのままマッサージしよ!三階のほうね!」
まぁ湯着を着てくれるなら問題ないな。
俺は重いからだを動かしながら準備を進めた。
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