第7話

「えっ?そんな、悪いですよ……」


「気になさらないで下さい。これも助けてもらったお礼だと思ってくれればいいので」


「はあ……」


「さあさあ。行きましょう!」


「あっ、ちょっと!」


「お待たせしました。博士」


「おっ、やっと来たか」


「待ってました!博士さんも一緒なんだね」


「ああ。少しの間だけど、世話になる事になったんだ」


「そうなんだ。よろしくお願いします」


「こちらこそ。これから仲良くしようじゃないか」


「うん!そうだ!自己紹介がまだでしたね!僕はアスターと言います!」


「俺はルシードだ」


「私はアイリスと申します。以後、お見知りおきを」


「僕の事は気軽に呼び捨てにしてもらって構わないよ!」


「そうか。それじゃあ遠慮なく呼ばせて貰うぞ?」


「はい!どうぞどうぞ!」


「それじゃあ……アスターって呼んでも良いかな?」


「うん!もちろんだよ!」


「ありがとよ。俺達の事も好きに呼んでくれて構わんぞ」


「分かったよ。二人とも、改めてよろしくね」


「おう」


「ああ」


「ところで、三人はどういう関係なんだ?」


「僕達は幼馴染なんだよ」


「そうなんだな」


「だから、こうして集まっているんだ」


「へぇー」


「博士さんはどういった経緯でこの国に来たの?」


「俺は……この国にある遺跡を調査しに来たんだ」


「遺跡の調査?どうしてまた……」


「それがな……この国には、俺達が探し求めている物が眠っているらしいんだ」


「探している物?」


「ああ。それはな……」


「ストップ!博士さん。それ以上はダメよ」


「ん?なんでだ?」


「その情報は私達しか知らない事なのよ」


「そうだったのか……すまん。忘れてくれ」


「いえいえ。気にしないで」


「ところで、博士さんは何の研究をしてるんだ?」


「主にエネルギーに関するものだな」


「エネルギー?例えばどんなものを研究してるんだ?」


「色々あるぞ。例えば、電気とか磁力なんかだな」


「電気や磁力……?」


「博士さんは科学者なのか?」


「まあ、そんな感じだな」


「凄いな……そういう研究をしている人は見たことがないぞ」


「そうなのか?」


「この国にはそういった分野に詳しい人が居ないからな……」


「そうだったのか……」


「ああ。でも、博士さんが来てくれたおかげで、その分野の人達が来るかもしれない」


「それは良かったな」


「うん。本当にありがとうございます」


「いや、良いってことよ」


「そういえば、二人は何をしてたんだい?」


「私達は博士の護衛をしていたのよ」


「護衛?どうして?」


「博士は狙われやすい体質みたいでな……よく危険な目に合うんだ」


「成程……大変ですね」


「まあ、慣れっこだけどな」


「そっか……何か手伝えることがあったら言ってね」


「ありがとう。その時は頼むぜ」


「任せてよ!」


「ところで、さっきから気になってたんだけど、何を食べてんだ?」


「これかい?」


「ああ」


「これはパンっていう食べ物なんだ。とても美味しいんだよ」


「ほう……どれ、一つ食べてみるとするか」


「そうだね。はい、どうぞ」


「サンキュー」


「おっ、確かにうめえな……」


「うん。美味しいよね」


「でも、結構高いんじゃねえか?」


「そうでもないわよ。銅貨3枚くらいかしら」


「安すぎないか?」


「そんな事はありませんよ。普通に買えばもっとしますし」


「そうなのか……」


「はい。それに、ここは王国ですからね。物価が高いんですよ」


「そういえば、ここって王国のどこら辺なんだ?」


「ここからだと……王都まで歩いて1日かかる距離ね」


「えっ!?」


「そんなに遠いのか?」


「ええ。だから、旅人は滅多に通らない道なのよ」


「そうなんだな……」

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