第3話

「ハッキリとした証拠は無い。ちなみにこの僕の愛車『UFO号』の名前の由来にもなっている」


「はあ……」


「そして今現在、世界各地で目撃情報が相次いでいる事から、僕はこう考えている」


「宇宙人はこの地球にやって来ると!」


「宇宙人!?本当ですか!?」


「ああ。勿論だとも。だって空に飛んでるんだよ?そりゃ宇宙人でしょ」


「はあ……そうなんですか。でも何でここに?」


「それは分からない。しかし必ず地球に来るはずだ。何故ならUFOは地球外から来た物と言われているからだ。それに……UFOが地球に来た理由も分かっている」


「え?どんな理由ですか?」


「それは―」


『あ!UFOが!』


「UFOが……消えた……?」


「これはきっと宇宙人が地球を去る時に残したメッセージに違いない!」


『宇宙人は地球を去った』


「ええ!?じゃあなんでUFOが!?」


「恐らく彼らは地球の美しさに感動したんだろう。それで居ても立ってもいられずにUFOに乗って帰ってしまったのだろう」


「なるほど……流石UFO研究家ですね!博識です!」


「ハハハ。それほどでもないよ。それより……君に頼みがあるのだがいいかな?」


「はい!何でも言ってください!」


「実は……今から一緒にUFOを探しに行かないか?」


「え?今からですか!?でも……」


「大丈夫。心配しなくてもちゃんと君の家まで送っていくから」


「いやそうゆう問題ではなくて……」


『……。私としては、コイツと関わり合いになるのは御免だな』


『だが、コイツを見捨てるのはどうなんだ?』


『。確かに……少し気にかかるな』


『よし!俺に任せろ!』


『何か良い案でもあるのか?』


『俺が説得する』


「なあ、UFO研究家さんよぉ」


「ん?君は……?」


「俺は通りすがりの一般人Aだ。ちょっと聞きたい事があるんだがいいか?」


「ああ。構わないとも」


「あんたはUFOが宇宙人の仕業って本気で信じてるのか?」


「もちろんだとも」


「そうか……でもさっきUFOを見た時、怖くて逃げ出してただろ?」


「うっ……」


『確かにな』


「そんな奴がUFOについて語ってる姿を見ると……滑稽に見えるぜ」


「うぐぅ……!」


「UFOを信じるんだったら、もっとビシッとしねえか!」


「はい……すいませんでした……」


「分かってくれればいいんだ。俺も言い過ぎたな。悪かった」


「いえ……こちらこそ……」


「そうだ!UFOを探すついでに街案内をしてやるよ!」


「え?本当かい?」


「ああ!任せてくれ!UFO探しはその後だ!」


「おお!ありがとう!」


「じゃあ行くか!」


「ああ!行こう!」


(ふっ……チョロいな)


『おい。今のはどういうつもりだ?』


『いやぁ……アイツ見てたらイラついてさ。ついカッとなって言っちゃったんだよね』


『全くお前という奴は……』


『まあまあいいじゃないか』


『。……はあ』


「ところで博士は何の研究をしているんだ?」


「僕は主にUFO関連を研究している」


「へぇ~じゃあUFOをどうやって見つけたんだ?」


「ああ。それはね……UFOは自分で見つけるものじゃない。誰かが落とした物を拾うか……あるいは―」


「UFOが自分から現れるしかない」


「UFOが現れる!?それマジかよ!?」


「ああ。僕は今まで多くのUFOを目撃してきた。その中には人を乗せた物もあった。だから必ず何処かにUFOの落し物が有るはずだ」


「なるほどねぇ……」


「ちなみに君はUFOの落とし物は見た事あるのかい?」


「ああ。さっきも言ったけど、俺はUFOを目撃したことがあるぞ」


「本当か!?一体どんなUFOだい!?」


「ああ。あれは確か……10年前ぐらいの事だったかな……」


「その時の俺はまだガキでさ。近所の公園で友達と遊んでたんだよ」


「で、昼飯の時間になったから帰ろうとしたんだけど……」


「なんか地面が光ってるの発見してさ」


「最初は気にしなかったんだけど、近づいてみるとそれが光る物体だって事が分かった訳よ」


「で、その光がどんどん強くなって行って……気が付いた時にはもう手遅れで―」


「気づいたら俺は見知らぬ土地に飛ばされていた」


「それは……本当なのか?」


「嘘だと思うなら付いて来てみろよ。きっと後悔すると思うぜ?」


「……。いや、止めておく」


「そうか?まあ別に無理には誘わないけど」


「それよりも、そろそろUFOの捜索を再開しよう」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る