トレーラー2 asylum

「まだ近いはずだ、探し出せ!」

  「ハイドリヒ隊長……彼女は一体!」

「20年前、ダンバースで起こったの反乱の首謀者だ……間違えない。」


轟音と雨音が兵士たちが奏でる、恐ろしい軍靴の音をかき消した。

レンガ造りの市街地。


兵士達は一人の少女を見つけ出そうとしていた。

その中で、二人の男だけが浮き出て見えた。


雷雨の中をライフルを持ち歩き回る兵士たちは、ぐっしょりと濡れている。

しかし大通りの真ん中に立つ、二人の男だけは違った。

一人が傘を差し、もう一人は傘を差されている。

この二人は、ほかの兵士達より偉いんだ。


チャーチが言っていた。

「集団は、複数の個が一つの生物のように動く……」

相手は、軍隊。

巨大なAdlerだ。


彼らを殺すためには、まず頭を狙わないといけない。

私は、やつらからライフルを一枚はがせた。

そして今、能ある鷹となりこの爪ごと隠れることができた。

デパートの一室から、そっと爪を出す。


狙うは、あの黒鷲エレギア……

見よう見まねで引き金に指をかけた。


決して屈するな、私は生き残るんだ生命は、弱さを許さない

自分にそう言い聞かす。


少しの引っ掛かりを感じつつ、引き金はひかれた。

糸を引き切った時のような感覚と、押し出される衝撃を覚えると、小さな体は部屋の奥へと飛ばされる。


「今だ。」

私が鳴らした銃声を聞いた誰かがそういう。


初めて打った、ライフルの感覚に戸惑う中。

激しい銃声が鳴り響いている。

「何が……」

ゆっくりと起き上がり、もう一度窓から黒鷲エレギアを覗いた。

そこには、無数の兵隊が大通りの先に向かって、発砲する。


彼らがにらみつける先には、若い男たちが手提げカバン爆薬

を抱えて走る。

「レジスタンス!」

兵士が叫ぶ。


レジスタンスが潜んでいたんだ。

私の銃声を切欠に、レジスタンスが現れた。


「ハイドリヒ隊長!」

「サタニストの協力者だ。射殺しろ」

あの二人組は、そう命令する。


彼らは、無傷だ。

その服装の一切すら崩れていない。


どうやら私の射撃は、外したらしい。

けれど、それでいい。


彼らが戦っているなら、私を追ってくる兵士はいないはず。

これは好機だ。


今のうちに、逃げてしまえばいい。


私は激しい銃撃戦の中を誰にも悟られないよう、走った。

何処から、誰が来るか。

やんわりと理解できた。



私は生き残る。

この世界で、生き残って見せる。





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