捕食 第12章

 「続いては、『恨みクッキングショー』!」


 ワーワーワー‼ 



 「本日のシェフは、ボノボさんです。」


 ワーワーワー‼ 


 人間が使ってきたものと同じ包丁を持って、ボノボシェフが登場した。



 「ボノボシェフ、本日のメニューは何ですか?」


 「本日はアウトドアで楽しめるバーベキュー料理、『人間の串焼き』です。」


 ワーワーワー‼ 



 「それでは、ライオンさん二人前の材料です。『人間のオス肉』十キログラム、『人間のメス肉』十キログラム、『塩』百グラム、『あらびき黒コショウ』百グラム、『レモン汁』適量、お好みで『豆板醤』、『七味唐辛子』、『金山寺味噌』などでアレンジして頂いても構いません。」


 「お好みでいろいろな味を楽しめるのはいいですね!」


 「それから、人間がバーベキューで使っていた、長さ三十センチくらいの『鉄の串』もご用意ください。」


◇◇◇


 「材料はすでにこちらに用意してあります。『人間のオス肉』がこちらのバット、『人間のメス肉』がこちらのバットになります。それぞれ七~八センチ角に切ってあります。まず『人間のオス肉』を、この『鉄の串』の奥の方までギュギュギュ~っと刺します。次に『人間のメス肉』を、その上にギュギュ~っと刺します。オス肉とメス肉を交互に『鉄の串』に刺していきます。」


 「なるほど、ボノボシェフ、交互に刺していく、というところがポイントなのですね。」


 「はい。刺し終わりましたら、上から『塩』・・・『あらびき黒コショウ』を、串全体にまぶします。」


 「こちらに、『人間のオス肉』十キログラム、『人間のメス肉』十キログラム、全て串刺しにして『塩』と『あらびき黒コショウ』をまぶしたものを、あらかじめご用意させて頂いております。」


 「あとはこれを、熱い鉄板で焼くだけです。」



 ジュワ~・・・。




 「それにしましてもボノボシェフ、世界の人口は膨れ上がっておりますからね。我々は永遠に、エサには事欠きませんね。これからも毎日、たらふく美味しい人間を食べることができますね。」



 『恨みクッキングショー』を見ていたママニワトリ、ママネコ、ママイヌは、メモを取っていた。



 「さあ、焼きあがりました。『レモン汁』をかけて完成です。皆様のお好みの調味料をお使い頂いても大丈夫です。美味しく召し上がってくださいね。」


 番組に出演していた動物たちは、出来上がった『人間の串焼き』をガツガツ、ムシャムシャと食べた。


◇◇◇



 ガラガラガラ・・・。


 イエティが台車で運び入れ、二十五平方メートルほどの巨大な鉄板と巨大な鍋が、スタジオに登場した。


 鉄板はすでに二百度にまで熱せられ、巨大な鍋には湯が煮えたぎっていた。


 

 サルが、つるで後ろ手に縛られた、美しく若い全裸の男女の奴隷を七~八名連れてきた。




 ピストルを構えたサルたちが、鉄板と巨大な鍋を取り囲んでいる。




 「さあ、皆様お待ちかね、『活け造り』のコーナーです。これから奴隷の皆様に、鉄板か鍋かをご選択いただきます。」


 


 カチャッ!




 サルたちが、警察官からくすねたピストルを構えた。




 「おい、奴隷たち。もしも鉄板や鍋から出ようものなら、撃つぞ!」




 命の終わりを覚悟した若く美しい全裸の奴隷たちは、すごすごと歩みを進めた。


 鉄板、もしくは巨大な鍋へと。


 (完)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

仇敵ヲ喰ラウ 冨平新 @hudairashin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ