幻魚 第5章
実は、ロープを
『幻覚キノコ』を食べた森實は、しばらくの間、度々幻覚を見るようになった。
また、睡眠中に見る夢には、やたらとマンダラの動画が現れるのだった。
マンダラの中心に向かって、周囲の円が吸い込まれるような動画が、延々と続く。
「今朝も、マンダラの夢か。」
しばしばマンダラの夢を見て、普段から泣き上戸の森實は、いわゆる魂と感情の『浄化』がパーフェクトレベルに上り詰めていた。
魂と感情の『浄化』がなされたので、『引き寄せの法則』により、幸せになるための『引き寄せ力』は、かなり高まったと言えるだろう。
つまり、森實の『潜在意識』の願望が実現しやすい状態になっているのだ。
人間の『潜在意識』が、自身の死を望んでいるはずがない。
『青木ヶ原樹海』で、森實に同情して
『引き寄せの法則』と幽霊たちの協力により、森實の願望は、近々実現しそうである。
森實は、生きている間に、成し遂げたい夢が叶う日が近いようだ。
◇◇◇
「本日も、宜しくお願いします。」
「こちらこそ、宜しくお願いします。」
「森實さん、今日は『
「そうですね。」
「『
「ありがとうございます。」
「
「はい。」
「諏訪部チーフって、正直、僕にはきつかったですね。」
「ああ、そうですよね。きつかったですよね。」
「なんか、こう、厳しすぎるっていうのか。何だか、苦手でしたね。」
「ああ、そうだったんですね。」
柿生美佐男は、森實とのこのようなやりとりの中で、森實が受けた痛手を感じ取っていた。
本当に
◇◇◇
「そのバットは『
漁港の責任者の
「内堀さーん、この人たちにそんな風にダラダラ言ったって、つーじねーよ!住所言わなきゃしょうがないでしょ⁉」
「んなことわかってるよ!お前らが伝えればいいだろ‼」
「俺がやります。俺に任せてください。」
『旭漁港』の、アーノルド・シュワルツェネッガーのような筋肉隆々のガチムチ男は、『ペンギン快特便』への配送手続きを全て行うと言った。
「『旭漁港』から配送する公式の『クール便』は以上です。よろしく。あと、もう一つ、頼んでいいかな?・・・商品として店に出せない魚を、俺の自宅に届けて欲しい。あ、もちろん、漁港に内緒で勝手にくすねるってんじゃあないよ。漁港にはそれなりの料金は支払って手に入れた魚だ。この箱、お願いします。」
アーノルド・シュワルツェネッガーのような筋肉隆々のガチムチ男は、氏名と自宅の住所を伝票に書き始めた。
森實は氏名欄を確認した。
(
「時間指定で、夜六時から九時でお願いします。」
「わかりました。確実にお届けします。」
◇◇◇
「この住所なら、自宅に帰る途中に寄れるので、私が届けます。」
森實が、軽い荷物なので、会社名義の軽自動車で帰宅するついでに届けるから大丈夫だ、と柿生美佐男に言った。
「そうですか。わかりました。お願いします。本日もお疲れ様でした。明日もまた、宜しくお願いします。」
「こちらこそです。宜しくお願いします。」
森實はそう言うと、宅配すべき荷物を受け取り、自宅に向かう会社名義の軽自動車に乗せた。
森實は、浮足立っていた。
筋肉隆々のガチムチで、『旭漁港』の伝票を仕切っていた男性、
タイプの男性である青島瑞樹の家に、これから宅配をするのだ。
森實は、アーノルドシュワルツェネッガーのような、筋肉隆々の大きい男が好みであった。
そのような男性に、思い切り愛されてみたい、という願望があるのだ。
いきなり、そのようなことにはならないだろうが、自宅を知ることができただけでもラッキーだと言えるだろう。
「
森實は、青島瑞樹の自宅の住所と電話番号をスマホに登録した。
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