第601話 信じられない乃愛とせとか
「……え? ちょっと待ってよ綾奈ちゃん。麻里奈先生と歳けっこう離れてるよね?」
うん。予想はしていた。
綾奈の言葉でも、さすがに手放しで信用は出来ないみたいだ。
「でも確かに、西蓮寺さんには歳の離れたお姉さんがいるって聞いてるけど」
「でもでも、麻里奈先生は綾奈ちゃんを「西蓮寺さん」って言ってるし、苗字だって違うのに……」
「私と姉妹って話すと、家族贔屓って思われるかもしれないし、まつ……お姉ちゃんって人気あるから公にしすぎると大変だし……」
「人気者は西蓮寺さんも同じだと思う」
「うんうん!」
「あぅ~……」
綾奈ってやっぱり人気あるんだな。
もしかして、いまだに告白してくる男子がいたりするのかな?
「どうしたの真人?」
「……え?」
「なんだかそわそわしながら私を見てるから……」
え? 俺って今、そんな風に綾奈を見ていたのか!? ヤバい無意識だった。
「綾奈ちゃんが告られてないか心配してるんじゃない?」
江口さんには簡単にバレていた。楠さんもうんうんと頷いている。
「た、確かに告白されてないって言ったら嘘になるけど……」
「綾奈が危ない目にあってないか心配でね。こういう時学校が違うともどかしいなって……」
千佳さんが一緒についててくれてるから安心だけど、それでも変な輩が千佳さんがいない隙を狙って来ないとも限らないから……。
「中筋君が高崎生だったら、綾奈ちゃんを好きな男子は毎日絶望を味わうだろうね」
「休み時間とか常に二人の世界に入ってそう」
「綾奈に色目を使った男が寄ってこなくなるならいくらでも二人の世界に入るさ」
知らない人にイチャイチャを見られるよりもそっちの方が圧倒的に嫌だから、寄りつかなくなるまで綾奈とイチャイチャしまくってやる!
「わ、私もちょっと恥ずかしいけど、私は真人のものって証明出来るなら、真人といっぱいくっつくよ」
「綾奈」
「真人」
俺たちは磁石みたいに互いに引き合い、ピタッと腕と腕をくっつけた。
「すごいね! 言ったそばから二人の世界に入っちゃった!」
「宮原さんが呆れるのも納得」
二人は驚いていたけどこのまま話そう。
というか気がついたらまたかなり脱線したな。そろそろ元に戻さないと。
「……で、二人が姉妹の話の続きなんだけど」
「そうだった! 綾奈ちゃんと麻里奈先生って苗字違うよね!?」
「うん。お姉ちゃんは数年前に結婚して、今はこのドゥー・ボヌールの店長の奥さんだよ」
「「え!?」」
二人がさっきよりも驚いている。
もしかして、麻里姉ぇが誰と結婚しているのかも知らないのか?
あ、さっき江口さんが「苗字違う」って聞いてたし、本当に知らなかったみたいだな。
「こ、ここってこの辺りだと有名店だよね!?」
「店長がかなりのイケメンって」
「ケーキもめちゃくちゃ美味しいし、麻里奈先生そんな人と結婚してたんだ!」
麻里姉ぇに関しての新情報がいっぱい出て驚いている二人は、ケーキを食べてさらに驚いている。
楠さんは物静かで感情をそれほど表に出さないけど、付き合いの短い俺でもわかるほど驚いている。
「あれ? じゃあ麻里奈先生って今いるの?」
部活も終わってけっこう時間経ってるし、戻っていてもおかしくはないよな?
「ええ、もちろんいるわよ」
俺がスマホで時間を確認していると、前方から聞きなれた声が聞こえたので前を見ると、まさに今話題にしていた麻里姉ぇがいた。
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