第573話 明日は真人の家で夕食を
麻里姉ぇとの話が一段落したところで、綾奈が俺の袖をクイクイと引っ張ってきた。
「ねえ真人。明日、どうする?」
「明日? あ、そうだ」
母さんと会ってからすっかり忘れていたけど、そういえば明日綾奈にいつのタイミングでお返しを渡そうか決めているところだった。
「ん~……やっぱり綾奈の部活終わり……」
腕を組みながら、まだ翔太さんと話している母さんが目に入った。
そうだ。ホワイトデーは明日だし、今から言っても間にあうんじゃないか!?
了承を貰えるかはわからないけど、とりあえず言うだけ言ってみるか。
「ねえ母さん」
「どうしたの真人?」
「明日さ、綾奈を夕食に呼びたいんだけど……ダメかな?」
「ふえっ!?」
バレンタイン当日は俺が綾奈の家の夕食に招待されたんだ。ならそのお返しのホワイトデー当日は、こっちで綾奈を招待したい。
まあ、言ってみたはいいけど、まずは両親がオッケーを出さなければその時点でポシャるわけだけど……。
「明奈さんと弘樹さんには言ってあるの?」
お、この返しは、母さんはオッケーってことかな?
「今さっき思いついたからまだだけど、母さんの了承を貰えたら、このあと明奈さんに直通聞いてみようと思ってる」
ここを出たあとは綾奈を家まで送っていくからね。
急な思いつきだから、明奈さんを困らせてしまうかもしれないけど、明日だし、まだ予定の調整は出来るはずだ。
一方の綾奈は、俺の手を握りながら、母さんをじっと見ている。この反応を見るに、綾奈もうちで夕食を食べたいみたいだ。
さて、母さんの返事は……。
「綾奈ちゃんのご両親の了承を取ったらいいわよ」
「やった。ありがとう母さん!」
「ありがとうございます良子さん!」
綾奈は感謝を伝えるため、立ち上がって頭を下げた。
「いいのよ綾奈ちゃん。私も久しぶりに綾奈ちゃんと一緒にご飯食べたかったし、それに美奈も喜ぶから」
「美奈……というか、うちの家族はみんな綾奈が好きだもんね」
「あんたには負けるけどね」
「誰にも負けない……というか負けたら大変だしね」
今だって綾奈と会う度に『大好き』って気持ちが大きくなってるしね。一体どこまで大きくなるかわからない。
「よかったね綾奈ちゃん」
「ありがとうございますお義兄さん」
「あまり失礼のないようにね」
「わかってるよお姉ちゃん」
明日のホワイトデー、楽しみになってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます