第541話 三人でテスト勉強

 良子さんが作ってくれた夕食を美味しくいただき、真人の部屋に行き、少し休憩してからテスト勉強を開始した。真人は自分の机で、そして私はローテーブルで。

 先週、真人が泊まりに来た時は、この時間帯はほとんど勉強をしていなかった。主にグループチャットでみんなと雛さんへの贈り物を考えていたから。

 でも来週はテスト本番だから、今回はお風呂に入る時間まで勉強すると真人と決めていたから、私も真人も集中して出来ている。そして───

「ねぇお義姉ちゃん。ここがわからないんだけど……」

 今は美奈ちゃんも私たちと一緒にテスト勉強をしている。美奈ちゃんも苦手科目を勉強していて、こうしてわからない問題は私に質問をしてくる。

 美奈ちゃんは私のそばで勉強してるから、真人は自分の机を使ってるんだ。

「これはね、ここをこうして……」

「なるほど。ありがとうお義姉ちゃん」

 私が解き方を教えると、美奈ちゃんは笑顔で私にお礼を言ってくれる。

 えへへ、義妹のお役に立てて嬉しいな。

「ごめん綾奈。俺も聞きたきことが……」

「いいよ。なんでも聞いてね」

 美奈ちゃんの次は、真人が分からないところがあったみたいで、問題集を持って私のそばにやって来た。

 えへへ~、旦那様が来てくれたー♡

 ……って、違うよ! 今は勉強中だから、ちゃんと真人に教えなきゃ!

「ここなんだけど……」

 私は真人の数学の問題集を見たんだけど、なかなか難しい問題をしていた。

「ちょっと待ってね」

 私は自分のノートに式を書き、少し時間をかけて問題を解く。そして真人にわかりやすく解説した。

「なるほどね。ありがとう綾奈」

「えへへ、どういたしまして」

 ちょっと自身がなかったけど、ちゃんと教えることが出来た。

 私は頭……頭頂部を真人に向けると、真人は私がして欲しいことがわかったみたいで、優しく頭を撫でてくれた。えへへ~、真人に撫でられるの大好き♡

 真人が撫でてくれてモチベーションが上がった私は、それからも勉強を続け、午後九時半まで続けた。

 さすがに疲れたので、私が背伸びをすると、真人と美奈ちゃん兄妹もつられて背伸びをしていた。

 背伸びをしている美奈ちゃんと目が合い、目をぱちくりさせた後、二人して吹き出してしまった。

「あはは」

「ふふっ」

 たったこれだけのことなのに、すごく面白く思っちゃう。やっぱり真人と、そして美奈ちゃんと一緒にいると本当に楽しいなぁ。

「ん? 二人ともどうかしたのか?」

 私たちに背を向けて背伸びをしていた真人は、突然後ろから私たちの笑い声が聞こえてきたから不思議に思ったみたいで、不思議に思った表情のまま、私たちを見てきた。かわいいー!

「なんでもないよ。ねーお義姉ちゃん」

「ふふ、そうだね美奈ちゃん」

「?」

 どうやら美奈ちゃんは真人には教えずに、私と二人だけの秘密にしようとしているので、私も真人には言わないことにした。ごめんね真人。

「思ったより時間過ぎてるな。綾奈、お風呂入ってきなよ」

 真人はスマホで時刻を確認して、私にお風呂に入るように言ってきた。私が最初でいいのかな?

「真人は入らないの?」

「俺は最後に入るよ。だからお先にどうぞ」

「あ! じゃあ一緒に入ろうよお義姉ちゃん!」

「へっ!? あ、いいよ。一緒に入ろっか」

 私が真人の優しい笑みにドキドキしていると、隣にいた美奈ちゃんが大きな声を出したのでちょっとびっくりしちゃった。

「そういえば一緒に入る約束してたんだよな」

「そだよ~。ごめんねお兄ちゃん、今回は私がお義姉ちゃんと入るから」

 今回……というか、多分二人で暮らすまでは、私と一緒にお風呂には入らない真人に、美奈ちゃんがにやにやしながら言ってすごいマウントを取っている。

「い、いいから。早く入って温まってきなよ」

「はーい。じゃあお義姉ちゃん、私の部屋に行こっ」

「うん。……真人」

「どうしたの綾奈?」

「真人がお風呂から上がったら、お話、しようね」

 真人がお風呂から上がっても、まだ寝るには少し早い時間だと思う。

 勉強がメインのお泊まりだけど、やっぱり旦那様とお話……そしてイチャイチャもしたい。我慢は体に悪いからね。

「もちろんだよ綾奈。いってらっしゃい」

「うん! いってきます」

 私は真人と左手同士を振り合い、美奈ちゃんと一緒に真人の部屋を一度あとにした。

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