第517話 お店に行くメンバーは?

 俺【ところで、近くでバルーンブーケをやってくれそうな店って心当たりある?】


 そう。それはお店だ。

 バルーンブーケがいいと言ったけど、俺はこの辺りでバルーンブーケを依頼出来る店を知らない。

 少々無責任な感じになってしまったが、ちょっと今から急いで調べてみるか。


 千佳さん【それなら、あたしたちの最寄り駅から何駅か離れたところにあったような……】

 俺【え? マジで!?】


 そんな店があったのか! 全然知らなかった。

 俺の移動範囲って、ほとんどがショッピングモールの最寄り駅から風見高校の最寄り駅までだし、行くお店も限られてくるので、そんなお店の存在も知らなかった。それにバルーンブーケのお店って女性が多いイメージだから、あまり一人や男だけでは寄り付かないと思ってるし。


 千佳さん【確か、ショッピングモールがある駅のもうひとつ向こうの駅の近くにあったような……】


 マジで? 先月俺と綾奈はそこに行ったぞ。

「あ、確かに。猫カフェのライチからは離れてるけど、あった気がする」

「本当に!?」

「うん。ちょっと検索してみるね」

「よろしくね綾奈」

 綾奈はスマホでそのお店について調べはじめた。

 どうやら綾奈もそのお店については知っているみたいだ。これは助かる。


 俺【綾奈もそのお店の存在は知ってるっぽい。猫カフェ・ライチから離れた場所にあるって】

 杏子姉ぇ【じゃあじゃあ、この土日にそのお店に行ってみる?】

 茜【みんなで行くの? さすがに大所帯すぎない? それにキョーちゃんはバレたら大騒ぎになりそうだし】

 杏子姉ぇ【変装したらバレないって】


 このグループチャットの人数は十人だ。お店の大きさにもよるけど、確かに全員で行くとなったらけっこうな人数だし、他のお客さんの迷惑になりかねない。

 杏子姉ぇの身バレも心配だ。変装といっても綾奈と一緒にゲーセンに行った時にしていたものだろ? 女性ってそういうの見破るの上手そうだし、本当に大丈夫かな?


 香織さん【行ける人、行きたい人が行くってことでいいんじゃない? 全員で行くのはさすがに……】

 一哉【とりあえず真人は確定で】

 俺【え?】

 一哉【バルーンブーケを提案したのはお前なんだから当然だろ】


 た、確かに……ここで俺が行かないのは感じが悪い。


 俺【出来たら誰かついてきてくれると助かる。俺だけだとどれ選んでいいかわからないし……】


 こういうのはセンスが大事だ。だから女性陣の誰かが来てくれたら助かる。


 一哉【綾奈さんは?】

 綾奈【真人が行くならもちろん私も行くよ】


「綾奈……」

「えへへ」

 綾奈はふにゃっとした笑みを見せてくれた。

 それを見て、俺の手は自然と綾奈の頭に伸びていて撫でていた。


 美奈【となると、お兄ちゃんとお義姉ちゃんのイチャイチャを止める人が必要だから私も行くよ】

 綾奈【ふえっ!?】

 俺【さすがにイチャつかないって!】


 真剣に雛先輩への贈り物を選ぶんだから、イチャイチャなんてしないって。


 美奈【そう言って何度人前でイチャついてきたかわかってる?】

 俺【え? そんなに?】


 健太郎と茉子以外のみんなから呆れ顔のスタンプが次々に送られてくる。ある程度は覚えているけど、そ、そんなに毎回イチャイチャしてたっけ……?

「あぅ~……」

 俺に頭を撫でられ続けている綾奈は頬をめっちゃ赤くしていた。


 茉子【みぃちゃんが行くなら私も行きます。雛さんには今年に入ってからだけど、いっぱい仲良くしてもらったから……】

 香織さん【それは私も同じだから私も行くよ】


 茉子と香織さんも来てくれるみたいだ。これは心強い。


 健太郎【じゃあ五人にお願いしていいかな?】

 俺【大丈夫だ】

 千佳さん【あたしも行きたいけど、マジで勉強しなきゃヤバいから……頼むよみんな】

 茜【私も同じく……】

 一哉【俺も今回は頑張るつもりだから……だから悪いけどお願いするよ】


 千佳さんはテストの度にヤバいって聞くけど、健太郎がついてるから問題ないだろ。

 茜もあんまり成績が良くなかったんだな。一哉と一緒に勉強するのかな?

 それからお昼に俺たちの最寄り駅に集まることを決め、このグループチャットのリーダーである健太郎が締めて、トークは終了となった。

「明日は午前中に勉強頑張るか」

「うん。午後はバルーンブーケ屋さんに行くから、しっかりと勉強しないとね」

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