第9章 高校1年最後のテストと、雛の卒業

第504話 今回のテストの目標は?

 バレンタインも過ぎ去り、週が明け、学年末テスト期間に突入した。

 ちゃんと授業を聞き、板書もし、復習もしてきたので赤点を取ることはまずないと思うが、気を引き締めて臨まないとな。

 というか万が一ここで赤点を取ろうものなら留年だし、綾奈や麻里姉ぇ、そして二人のご両親に失望されること間違いなしなので気合いを入れないと!

「そういやお前、今回はどうするんだ?」

「え?」

 昼休み、内心でテスト勉強を頑張ろうと思っていると、一緒に食事をしている一哉がそんなことを聞いてきた。何に対してなのかわからなかった。

「テスト勉強だよ。前回は綾奈さんと一緒にしてなかっただろ? 今回もそうするのか?」

 ああ、なるほど。

 前回、綾奈と別々で勉強していて、俺が寂しがっていたのを一哉も健太郎も知ってるから聞いてきたのか。一哉も心配してくれたのかな?

「今回は一緒に勉強することになってるよ。早速今日から綾奈の家でね」

「なら今回はお前の泣き言を聞かなくてすみそうだな」

「うるせえ忘れてくれ!」

 心配してるのかと思えば、俺が赤面しているのを見てからからと笑っている。

「でもあの時は本当に朝しか会ってなかったんだね」

「俺も綾奈もマジで上位を狙ってたからな」

「あの時期真人君が元気なかったのって、綾奈ちゃんとほとんど会えなかったからなんだね」

「なんで知ってるんだよ香織さん!?」

 今日は香織さんも俺たちと一緒に昼食をとっていた。

 てかあの頃はまだ香織さんと友達になってなかったのに、どうして知ってるんだよ!?

「お前の辛気臭さがクラス中に漂っていたからじゃないか?」

「え? マジで!?」

 そんなに寂しそうにしてたの俺!?

「真人君に目が行くとため息をもらしてたから……」

「な、なるほど……」

 期末試験の頃はまだ俺に対しての……好意が残ってたから、それで香織さんも落ち込んでいる俺を見たのかもしれないな。

「でもよかったね真人。今回は何も気にしないで勉強に集中できるね」

「いや、それはどうだろうな?」

「どういう意味だよ?」

 そしてなぜニヤっと笑みを浮かべているんだよ?

「お前らは絶対イチャイチャして勉強どころではなくなると思ってな」

「ちゃんとメリハリはつけるから大丈夫だ! 今回も上位を狙ってるんだ。イチャイチャばかりしていられないよ」

 それにイチャイチャするのは一哉たちもそうだろ!? 元祖イチャイチャカップルがイチャつかないわけがない!

「真人君は前回は八位だったよね? 今回は何位を目指すの?」

「ん~……今回はこれといって目標順位を決めてないけど、とりあえず十位以内だな」

 だからマジでイチャイチャだけしている余裕なんてない。勉強はしっかりやって、休憩中にイチャイチャする感じにしないと目標どころではないのだ。

「今回も強気だね!」

「『前のテストよりいい順位を』ってのを目標にしてるからね。だけどこれより上はさすがに厳しいからさ」

 いくら勉強しても届かない気もしてるから、とりあえず一桁の順位は維持するよう頑張るつもりだ。

「そうなんだ。清水君より上を目指すって言うかと思ったけど」

「さすがに学年一位には勝てないって」

「僕も真人が親友で恩人でも、テストで負けるつもりはないよ」

「張り合おうとはしてないから」

 だからそんなイケメンスマイルを俺に向けるなよ。それは千佳さんだけに見せてやれよ。

「ん~……俺も今回はちょっと頑張ってみるか」

「私も」

 どうやら一哉と香織さんも触発されたようだ。

「一年生最後のテスト、頑張ろうねみんな」

「ああ」

「おう!」

「うん!」

 こうして俺たちは、再来週からはじまるテストの奮戦を誓い合うのだった。

 健太郎より上、か。今は無理でもいつかは成し遂げてみたいもんだ。

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