第491話 まだ戻っていない美奈
「ただいま」
家に入ると、美奈の靴はなかった。茉子が駅で待っててくれたんだから、美奈も学校にはいないはず。寄り道でもしてんのか?
「おかえり真人」
「ただいま母さん」
リビングに入ると、母さんがキッチンで夕食を作っていた。
母さんに戻ってきたことを伝えて、俺は冷蔵庫に行き、貰ったチョコレートを空いているスペースに入れた。
「あんたずいぶん貰ってきたわね」
「うお!?」
俺がチョコを入れていると、いつの間にか後ろにいた母さんがそんなことを言ってきたので、俺はびっくりして大声を出してしまった。
あっぶねー。もう少しで冷蔵庫の中の物が出てきて大惨事になるところだった。
「後ろからいきなり声かけないでよ!」
「なんでそんなにびっくりしてるのよ?」
「足音消して来るからだろ……」
前世忍者でもやってたのか?
「それだけ貰ったの、綾奈ちゃんは知ってるの?」
「多分……みんな綾奈の友達だし」
そう言いながら改めて貰った人の顔を思い浮かべる……うん。綾奈の知らない人はいないな。
「それにしても、あんた去年はマコちゃんだけだったのに凄いわね」
「それは自分でも驚いてるよ」
この一年で女子の知り合い……再会した人もいるけど、増えたよなぁ。教室の片隅でラノベを読んでたのが懐かしい。
「お返し、ちゃんとしなさいよ」
「わかってるって」
みんな手作りだし、やっぱり俺も手作りで返すべきだよな。
さすがに今回は翔太さんの手は借りられないと思うから、作り方は動画で見て予習しておこう。
俺は綾奈の部活が終わる時間までに宿題を終わらせ、私服に着替えて駅へと向かった。
宿題をしている間も美奈は帰ってこなかったが、アーケードに行ってるのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます