第474話 望まぬ再会 ~健太郎~
なんなんだよこいつら……。久しぶりに会った同中の奴に言う第一声がそれとか、ありえないだろ? しかもあの健太郎にだぞ!? 人に恨まれることなんてやったことない優しいやつだぞ!?
「なんなのお前ら? ちょっといきなりすぎじゃないか?」
一哉が一歩前に出て三人組を睨みつけた。今の一言で怒ったようだ。
もちろん俺も同じだ。 大事な友達にいきなり罵声をあびせられて怒らないやつなんていないだろ。
俺は健太郎を守ろうと自分の腕を健太郎の前に出した。
「お前ら、こいつの友達か?」
「ああ」
「やめとけやめとけ。そんなやつ、一緒にいたらお前らが酷い目にあうぞ?」
「意味わかんねぇ……」
俺も一哉と同意見だ。酷い目にあったことなんて一度もないし、ラノベの話も出来て学校が毎日楽しいのに。
「とりあえず、どこかに移動しないか?」
こいつらに言いたいことは山ほどあるが、こんな道の真ん中で話をすると通行人の邪魔ななる。それに、事情も知らない人たちに聞かせるような話でもない。
「いいぜ。こっちだ」
そう言うと三人組は踵を返して歩き出した。
どうする……千佳さんに知らせるか? でも今は部活中だよな?
俺はスマホを手に取り逡巡していると、健太郎が俺のスマホに手を置いた。
「健太郎……」
「千佳には、言わないでほしい」
どうやら健太郎には、俺が何をしようとしているのかお見通しのようだ。
「でも……」
「お願い真人」
「…………」
俺は何も言わず、スマホを持っている手を下げた。
「ありがとう真人」
健太郎はどこか悲しげな笑顔を見せ、それから三人組のあとをついて行ってしまった。
「くそっ、なんなんだよあいつら……」
一哉も悪態をつきながら健太郎のあとを追う。
どうすればいいんだ……。
健太郎の気持ちもわかる。自分の彼女をこんな厄介事に巻き込みたくない気持ちは痛いほどわかる。それに、あんな奴らにモデルのような美人の千佳さんを見せたら、何言うかわかったもんじゃない。
でも、千佳さんの立場からすると、黙っていられる方がショックなはずだ。健太郎の過去になにがあったのかを千佳さんが知っているのかはわからないけど、千佳さんの性格なら、この状況を黙って見過ごすはずもないし、もしかしたら言わなかった健太郎にも怒りの矛先を向けてしまう可能性だってある。
俺にとって、健太郎も千佳さんも本当に……本当に大事な友達だ。俺の取る行動は……。
「…………っ」
俺はスマホ操作し、制服の胸ポケットにしまい、走って五人のあとを追った。
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