第464話 美奈のチョコを渡す相手
「あら真人君、妹さんがいたのね。可愛い妹さんね」
「はい。可愛い自慢の妹です」
美奈は兄の俺から見ても可愛いからな。贔屓目で見てないぞ。
「い、妹の美奈です。はじめまして……てかお兄ちゃん! 人前で可愛いとか言わないでよ恥ずかしい!」
「実際可愛いからなお前は」
「そ、そういうのはお義姉ちゃんにだけ言ってればいいの! このシスコン!」
「なっ……!」
本当のことを言ったのに美奈に罵倒された。場所がいけなかったか?
「うふふ。仲いいわね二人とも」
「真人さんがお兄ちゃん…………うらやましい」
「凛乃ちゃん……そう言ってくれるのは凛乃ちゃんだけだよ。ありがとう」
「凛乃ちゃん……うちのお兄ちゃんはやめた方がいいよ。オタクだし隙あらばすぐ綾奈お義姉ちゃんとイチャつくんだから。それを見せつけられるこっちの身にもなってほしいよ」
「お前凛乃ちゃんになに吹き込んでんだよ!?」
せっかくそう言ってくれてる凛乃ちゃんにネガキャンはやめろよ。
それにお前、それ言ったら茉子はどうすんだよ!? 茉子も俺を『お兄ちゃん』って言ってくれてるんだから、親友も否定してるんじゃないかそれ?
「でも、真人さんはすごく優しいから……やっぱりうらやましいです」
「ま、まあ……確かにお兄ちゃんは超がつくほど優しいし……」
俺ってそんなに優しいかな? 普通にしてるだけなんだけど。
「そんなお兄ちゃんだから、以前ディスって一方的に毛嫌いしていた私なのに、今はこんなに仲良くやれてるのはわかってる。だからそんな日頃の感謝を込めてお兄ちゃんに手作りチョコを贈りたいって思ったんだよ……」
「ん? 何か言ったか美奈?」
顔を赤くして、なんかもにょもにょ言ってるのが聞き取れなかったから、美奈に何を言ったのか聞いたけど……。
「シスコンすぎてヤバいからお兄ちゃんはやめといた方がいいって言ったの!」
「そっか……」
聞くんじゃなかった。
そんな俺たちのやり取りを見て、麻子さんと凛乃ちゃんが何やら微笑ましいものを見る表情をしている。
「それよりお兄ちゃん。次は本屋に行きたいし、それにここで立ち話してると麻子さんの邪魔になっちゃうから行こうよ」
「……そうだな。じゃあ麻子さん、凛乃ちゃん。俺たちはこれで」
「ええ。またいつでも来てね」
「真人さん、美奈さん。また」
菊本親子に別れを告げ、俺たちは会計を済ませて書店に移動した。
書店に移動し、美奈はチョコ作りの本を探すと言って一人で行ってしまったので、仕方ないので俺はスーパーで買った物を預かり、アニメ雑誌を立ち読みしながら美奈が買い物を終えるのを待つことにした。
アニメ雑誌を読み終え、次に声優さんの雑誌を手に取りパラパラとめくっていると……。
「真人!」
少し離れた所から聞き慣れた可愛らしい声が聞こえたので、声がした方を見ると、レジ袋を持った綾奈がこちらに駆け足で近づいてきていた。
まさか本当に綾奈に会えるとは……。
服、適当に選ばなくてよかった。
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