第457話 真人の頬で遊ぶ綾奈
欲しかったラノベを買うことができて、二人してホクホク顔でいつもの人がいない公園に移動した。
そして今は……。
「…………♪」
駅で併設されたコンビニで言ったように、綾奈が俺の頬を触り倒していた。
西日に照らされた綾奈の笑顔はとてもにこにこでご機嫌だ。鼻歌も歌ってるし。
俺の頬を指でつんつん、ぷにぷにとつついたり、両頬を優しくつねったり、両手で挟んだりと、おもちゃかよってくらい楽しんでいる。
もちろん嫌だなんて欠片も思ってなくて、むしろ俺の頬だけでこれだけ笑顔になってくれるのならいくらでも遊んでほしい。この可愛すぎる笑顔を至近距離で見れて俺も幸せだし。
ん~、本当に楽しそうだな。
されるがままなのもいいんだけど、ちょっと頬を膨らませてみるか。
ぷくっと。
「わあ~、ふふっ♪」
わあー。すっごく喜んでくれている。
あ、綾奈が俺の頬をサンドしている両手に少しだけ力を込めた。
そうなると、口の中に空気をため込むことが出来なくなり、俺の口から空気がプシューって、どんどんと出ていく。
「ふふ、真人かわいい♡」
本日二度目の「かわいい」をいただきました。
というか、そうやってはしゃいでいる綾奈の方が俺なんかより数億倍可愛いって。
「綾奈、楽しそうだね」
「うん。触り心地抜群だし、真人の普段見れないいろんな表情が見れるからとっても楽しいよ」
普段見れない表情って、言ってしまえば変顔だ。
確かに綾奈の前で変顔はこれまでしたことがなかったな。変顔って、あまり自分から見せるようなタイプではないし。
綾奈だからこんなに喜んでくれるんだよな。もし一哉や茜や杏子姉ぇの前でやろうものなら白けてダメ出しされて終わりだ。
まぁ、見せるつもりはないし、今は綾奈と二人きりの時間を楽しまないとな。
「楽しんでくれて嬉しいよ」
「うん!」
綾奈は頷いてまた俺の頬を触りだした。
「柔らかくて気持ちいい」
その言葉通り、本当に気持ちよさそうに触ってるなぁ。
俺もちょっと触りたくなってきてしまった。
「ねぇ綾奈」
「どうしたの真人?」
「俺も綾奈の頬を触っていい?」
「私のほっぺ、触りたいの?」
「うん。ダメかな?」
「ダメじゃないよ。はい、どうぞ」
そう言うと、綾奈は俺の頬から手を離し、俺が触りやすいように右の頬を俺の正面に向けてきた。
綾奈の頬が赤い。
それにしても綾奈……もしかして甘えモードに入ってない? リアクションがいつもよりも幼い感じというか、さっきも「ほっぺ」って言ってたし。
あれ? そういえば、コンビニでも「ほっぺ」って言ってたよな? じゃあ、あの時も……?
それはもうわからないが、多分今は甘えモードになっていると思いながら、俺は綾奈の頬に触れるために手を伸ばした。
それと同時に、触れるだけでは済まなくなりそうな予感もしながら……。
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