第454話 乃愛とせとかの興味は昔の真人に
二月八日の水曜日のお昼休み。
私はいつものようにちぃちゃん、乃愛ちゃん、せとかちゃんと一緒にひとつの机を囲って四人でお昼ご飯を食べていた。
「綾奈ちゃん、あれからダイエットは続けてるの?」
「もちろんだよ」
今日も早朝に真人と一緒に走ったし、杏子さんが家に来てからはストレッチや筋トレも毎日してる。
そのおかげで体力も少しずつついてきて、体重もけっこう戻ってきた。
「確かに。ちょっと細くなった?」
「うん。ランニングだけじゃなくって、筋トレもしてるから」
「それでなんだね。綾奈の身体がかすかにだけど引き締まったように見えたのは」
「み、見たの!?」
「更衣室で着替えてる時にね。ウエストがいつもより細く見えた気がしたから」
ダイエットをはじめて二週間弱……見た目にも変化があらわれるようになってきたのかな? こうやってお友達に言ってもらえるのは嬉しいな。
「綾奈ちゃん。ダイエット楽しい?」
「うん。最初はやっぱりしんどいって思ったけど、真人と一緒だし、成果を褒められると嬉しいから、今は楽しいって心から思うよ」
真人と杏子さんの協力があったからこそだよ。私一人だったらとっくに挫折してたかもしれない。
「それにしても、真人はよくあれだけのダイエットを一人で成功させたよね」
「うん。去年の夏休みに見た時は見違えたもん。すごく尊敬する」
中学の真人の体型から予想するに、十キロ以上は絶対に痩せてるよね? それほどの減量を一人でやり遂げただなんて……真人凄すぎるよ。
「それも、綾奈と仲良くなりたいがためだったからねぇ」
「……えへへ♡」
ちぃちゃんはちょっと茶化すような口調だったけど、真人がダイエットを成功させた要因の一つが私だと思うと、ちぃちゃんの茶化しが気にならないくらい嬉しくなった。
「ねえねえ二人とも」
私が旦那様を想いながらにこにこしていると、乃愛ちゃんが私たちに声をかけてきた。
「ん? どしたん乃愛?」
「前々からちょいちょい言ってるけど、中筋君って太ってたの?」
「太ってる中筋君が想像出来ない」
あ、そっか。二人が真人と知り合ったのは去年の十一月……真人が今の体型になってからだから、ぽっちゃりしていた時の真人を知らないよね。
「ん~……綾奈、昔の真人の写真とか持ってないの?」
「持ってないよ。あの頃は真人とおしゃべりするほど仲良くなかったし……」
「それもそっか」
「それにもし持っていたとしても、見せるなら真人に一言言わないと。真人も見られたくないかもしれないし」
大晦日に偶然会った香織ちゃんには、真人から昔の体型の写真を見せてたけど、あくまでそれは真人自信が見せたものであって、私が自分の意思だけで、真人の許可を取らないで見せていいものではない。
「だよねー。ちょっと見てみたかったな」
「うん。二人がこれだけ言ってるからやっぱり気になる」
私がダイエットを始める前にもちょっとだけ昔の真人についてちぃちゃんとお話していたから、気になるのも無理はないよね。私も二人の立場なら見てみたいって思う。
「じゃあ、真人に聞いてみようか?」
真人がオッケーを出したら、乃愛ちゃんとせとかちゃんにも見せることが出来るもんね。
「いいの!?」
「うん。もちろん」
「ぜひお願いします!」
「ちょっと楽しみ」
それに、真人に昔の体型の写真を送ってもらうことになるから、私もぽっちゃりさんだった頃の旦那様の写真が手に入る……えへへ。
それにしても、乃愛ちゃんとせとかちゃん……私より楽しみにしてない? せとかちゃんも「ちょっと」って言ってるけど、ちょっとどころの顔じゃないよ。そんなに見てみたいんだ。
「わかったよ。じゃあ今日の放課後に聞いてみるね」
「ありがとー綾奈ちゃん」
「色良い返事をお願いします」
「それは真人次第だよぉ」
私たちは笑いあって、それからも楽しい昼休みを過ごした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます