第450話 美少女2人、デートの約束
私が家の中に入ると、杏子さんはリビングで両親とお話をしていた。
さすが杏子さん……もう両親と打ち解けている。
「あ、アヤちゃんおかえり。早かったね」
「た、ただいまです」
私の家なのに杏子さんに「おかえり」って言ってもらえるのは、変な感じがするけどやっぱり嬉しい。
「もっとマサとラブラブしててよかったのに」
「ふぇ!? で、でも真人も寒いだろうし、杏子さんをお待たせするのも悪いと思って……」
「も~アヤちゃんは本当にいい子だなぁ」
「ひゃう!」
杏子さんは昨日の駅構内でしてくれたように、私を抱きしめてくれて、頭も撫でてくれた。
真人が頭頂部から下に向けて優しく、本当に愛おしそうに撫でてくれるのに対し、杏子さんの撫で方は犬や猫の頭を撫でるような……わしゃわしゃとした感じで、でも極力髪が乱れないように撫でてくれる。
杏子さんの撫で方もいいけど、やっぱり旦那様に撫でられるのが一番好き。
「えっと、じゃあ私の部屋に行きましょうか」
「うん。明奈さん、弘樹さん。いったん失礼しますね」
杏子さんは私から離れ、両親に向き直りお辞儀をした。
「あとで飲み物を持っていくわね」
「杏子さん。ゆっくりしていってくれ」
「ありがとうございます。行こ、アヤちゃん」
「はい」
杏子さんは私の手を握ってきたので、私はその手を握り返し、手を繋いだまま私の部屋に移動した。
「ここがアヤちゃんの部屋か~」
私の部屋に入ると、杏子さんは部屋の中央付近に立ち、辺りをキョロキョロと見渡していた。
基本的には片付けをしているし、昨日の夜もモップがけをしたから、ホコリなんかは落ちてないんだけど、ここまで入念に見られるとドキドキしてくる。
「あの、杏子さん。そんなに見られると……」
「え? あぁ、ごめんね。アヤちゃんの部屋って思ったらついいろいろ見たくなっちゃって」
「あぅ~……」
大ファンの杏子さんにそんな嬉しいことを言ってもらえて、すごく照れてしまう。
「昨日はこの部屋でマサとイチャイチャしたんだね~」
「き、杏子さん!」
私は顔が一気に熱くなって、つい叫んでしまった。
た、確かに昨日はここで真人とイチャイチャしたよ。しかもしかも過去一番と言っていいほどのイチャイチャを……。
昨日のイチャイチャを思い出してしまい、今度は耳まで熱くなってしまった。あぅ~……。
「あはは。ごめんごめん……ん?」
杏子さんは私に謝ったあと、また部屋をキョロキョロと見渡して、ベッド近くに置かれていた二匹の猫のぬいぐるみ、まぁくんとあーちゃんを見つけた。
「わぁ、このぬいぐるみ可愛いね!」
「ありがとうございます。その子たちは真人がゲームセンターで取ってくれたんですよ」
まぁくんは真人が初めてプレゼントしてくれた子だから、思い入れも愛着もすっごくある。もちろんあーちゃんだってとっても大切な子だよ。
「そーなんだ。やるじゃんマサ。ゲーセンは普段からよく行くの?」
「そうですね。私がはじめて行ったのは去年の九月なんですけど、それからは割と行っていて、そこの店長さんとも知り合いなんですよ」
強面で屈強な体格の磯浦さんをはじめて見たときはちょっとびっくりしちゃったけど、気さくでとてもいい人だ。お義兄さんの昔の相棒さんだったのには驚いたけど。
「へー……私も今度行ってみようかな?」
「あ、なら今度、一緒に行きませんか?」
「いいの!? やった! 約束だよアヤちゃん」
「はい!」
それからテンションが上がった杏子さんと指きりをした。ゲームセンターに行く日が楽しみだな。
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