第445話 ふくらはぎのマッサージ
綾奈から「もういいよ」と言われ、ゆっくりと扉を開けて顔を覗かせると、綾奈はベッドに腰掛けていた。
もちろん綾奈は制服から私服に着替えていた。いたのだけど……。
「ショートパンツかぁ……」
綾奈は冬休みのお泊まりの時にも何度か見せてくれた、白いショートパンツを履いていて、そこから伸びる美脚は、もちろん何もつけていなかった。
普通にジーンズとか、ジャージを想像していたんだけどなぁ……。
「えっと……ショートパンツはダメだったかな?」
これは素で聞いてきてるな。
「ダメじゃないけどさ、いいの? 俺が直接綾奈の脚に触れて」
決していかがわしい触り方をするつもりはない。健全に脚のマッサージをするつもりだけど、綾奈の綺麗な脚に直接触れていると、多分理性がゴリゴリ削られていくのは明白。
これは、俺にとったらある意味戦いになりそうだ。
「も、もちろんだよ。私の身体で旦那様が触っちゃダメな部分なんて……ないから」
「~~~~~!」
俺は手で顔を隠した。おそらく、相当赤くなっているはずだ。
落ち着け俺。綾奈はただ純粋に言っているだけだ。決してエッチな意味が込められているわけではない。あんなキラーワードをもらったからって変な気を起こすな。マッサージに集中するんだ。
「ど、どうしたの真人!?」
「な、なんでもないよ」
どうにか落ち着きを取り戻した俺は、ゆっくり綾奈に近づく。
そんな俺を見て、綾奈は先程のようにベッドにうつ伏せの状態になった。
さっきはニーハイで隠されていた、綾奈の綺麗な脚が目の前にある。
ふくらはぎやももの裏をちゃんと見たのははじめてだけど、本当に白くて綺麗だ。
俺は頭をぶんぶんと振り、再び出てきそうになっていた煩悩を振り払う。
てか、本当に太ったのか? 冬休みに見たときと全然同じにしか見えないんだけど……。
「じ、じゃあ、マッサージしていくね」
「うん。お願いします」
俺は手汗がついてないかを確認し、それからゆっくりと綾奈のふくらはぎに手を置いた。
「んっ」
綾奈から少しなまめかしい声が漏れ、身体がピクっと動いたけど、俺は気にせずにふくらはぎを揉む。煩悩退散煩悩退散……。
「あっ! ……くぅ」
「だ、大丈夫綾奈? 痛かった?」
「だ、大丈夫……ちょっと痛いけど、平気だよ」
俺はあんまり大丈夫じゃない。
「わ、わかった。続けるね」
「うん。お願い」
それからも俺は、綾奈のふくらはぎを揉んだり、親指で押し込んだりと、色々なマッサージをしたんだけど、俺が力を込めるたびに、綾奈から「あっ……」とか、「ひうっ!」とか、「やぁ……んっ!」等など、聞いているこっちがどうにかなってしまいそうな声を出しながらモゾモゾと動いていたので、当初の予想通り、俺の理性がめちゃくちゃ削られていき、五分後、なんとか理性の完全崩壊はまぬがれ両方のふくらはぎのマッサージを乗り切ることが出来た。
「はぁ……はぁ……あ、ありがとうましゃと。楽になったよ」
「そ、それはよかった……」
「でも、疲れちゃったよね? ごめんね」
「あ、謝らないでいいよ。見た目ほど疲れてないからね」
ただし、肉体的には……だけど。精神的にはめっちゃ疲れた。
「ほ、本当? じ、じゃあ……もうひとつ、お、お願いして……いいかな?」
「いいよ。なんでも言って」
煩悩に打ち勝ち、綾奈のふくらはぎマッサージを完遂したんだ。今の俺ならなんでもできる……そんな根拠もない妙な自信に満ち溢れていた。
が、俺の自身は次の瞬間には崩れ去ることとなる。。
「そ、それなら……ももの裏も、マッサージしてほしい、な」
「……え?」
どうやら、俺の戦いはまだ続くようだ……。
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