第437話 一緒に早朝ランニング 初日
そして翌日の早朝。
俺はいつも通り五時に起床し、布団をひっぺがし、寒さを気合いで耐えて着替える。
そして準備運動をして家を出てランニングをスタートさせた。
最初は起きるのにも苦労したけど、二週間以上続けていたら慣れた。
だから完全に覚醒してるんだけど、綾奈はちゃんと起きれたのかな?
初日に綾奈の家の前を通った時に偶然綾奈のご両親と会った時は、綾奈はまだ夢の中だったみたいだし。
まぁ、綾奈は真面目だし、今日から自分も走ると言ったんだ。早めに寝たんだろう。
「あっ」
綾奈の家が見えて来ると、暗闇の中、人がいるのがわかった。
まさか、綾奈か?
「まさと~」
やっぱり綾奈だった。
早朝なので、あまり近所の人の迷惑にならないくらいの声量で俺を呼んでいる。
「はぁ、はぁ……おはよう、綾奈」
「うん。おはよう真人」
「家の中で待ってても良かったのに。寒かったろ?」
このクソ寒い中、外で待っているとは思わなかった。てっきり暖房のついたリビングで朝の情報番組を見ながらご両親と会話しながら待っていると思ったんだけど。
「大丈夫だよ。外に出たのも三分くらい前だし、真人が来ると思って準備体操してたんだ~」
「さすが綾奈。もう準備はバッチリだね。ジャージ姿も可愛いし」
「えへへ~♡」
綾奈はピンクのジャージとウインドブレーカーを着用している。本当にピンクが好きなんだな。
「さて、ここで止まってると体温がどんどん奪われちゃうから、行くか」
「うん。よろしくね真人」
「こちらこそ。とりあえず公園まで走ろうか。無理せずゆっくり走ろう」
今日が初日の綾奈は俺のペースで走ってしまうと、きっとすぐにバテてしまう。だから、綾奈のペースに合わせて一緒に走るんだ。
「ごめんね真人。私のペースに合わせてもらって」
「そんなこと気にしないの。俺にそんな気を使う必要ないし、冬休みに支え合っていこうって決めたろ?」
元日に綾奈の家で一緒に昼食を食べたときに言った言葉だ。
あの時は将来家事を一緒にしようって意味だったんだが、あの時とはちょっと意味が違ってくるが、これも支え合いだ。
「よし。じゃあ行こう綾奈」
「はーい」
俺たちは公園に向けて走り出した。
「はぁ……はぁ……うぅ……」
公園に到着した俺たちだが、綾奈は既にバテバテだった。
膝に両手をつき、肩で息をしていた。
「はぁ、はぁ……だ、大丈夫綾奈?」
「だ……だいじょーぶ……」
とても大丈夫そうには見えない。
俺は綾奈の背中を優しくさすった。
そういやクリスマスイブのデートの時、雪が降ってここから綾奈の家まで走って帰ったけど、綾奈はここまで疲れてはいなかったよな。
指輪をプレゼントした日だったから、疲れより嬉しさが買った的なやつかな?
「あ、ありがとうましゃと……やっぱり疲れるね」
「まあね。でもここまで一度も歩かずに来れたのは凄いよ。頑張ったね綾奈」
「え、えへへ。ありがとうましゃと……はぁ……はぁ……」
綾奈の家からこの公園までの距離は、徒歩で約五分。大したことない距離と思われがちだけど、体力がない人が徒歩五分の距離を走るのはかなりハードだ。
それも一度も止まらずに走りきったんだからマジで凄い。
「じゃあ休憩がてら、ちょっとベンチに座ろうか」
「う、うん。そうする……」
俺は綾奈の息がもう少し整うのを待ってから、綾奈と手を繋いでベンチに移動した。
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